2のカードの概要
小アルカナの各スートの2はセフィロトの樹でいうところの第二セフィラ、コクマーに対応します。コクマーは叡智をつかさどります、
ここでいう叡智とはどのようなものなのでしょうか?エリファス・レヴィは以下のように述べています。
知恵とは何か?二原理の和解と結合であり、カインの精力を制御するアベルの温厚、女性のやさしい勧告に従う男性、正式の結婚に打ち負かされた放蕩、秩序と平和のやさしさに手なづけられた変革的活力、愛に屈服した驕慢、信仰の霊感を認めた学問である。
このとき人間の学問は懸命なものとなる、なぜなら謙虚な態度を知り、愛によって或は普遍的慈悲によって教えられる謬ることのない普遍的条件に従うからである。(中略)
啓示は、二つ組で出来ている。すべての言葉は、二重構造で、二を想定する。
啓示から生まれる道徳律は二組から生まれる対立の上に基礎を置いている。精神と外形は、観念と記号のように、現実と虚構のように、互いに惹きつけ、また退け合う。
人文書院 エリファス・レヴィ「高等魔術の教理と祭儀」より
ロゴス=言語化できる概念全般こそが根源だととらえられているとケテルの説明で述べましたが、そうやってケテルから創出された概念を私たちが認識するとき、我々は二項対立としてどうしてもとらえます。愛を知るとその反対の憎悪を知り、影がなければ光はみえず、私たちは対立している2項を物事をとらえます。
そんな2項で世界をとらえる私たちがよりよく生きていくために、「叡智」を運用するとはどういうことでしょうか?
それは、2つの項目のどちらかに偏るのではなく、2つの概念を調和させ、バランスをとることです。
レヴィの例をかりると、変革的活力は人間の進歩のためには大切ですが、それだけを偏重して進歩だけに拘ればそれはやがて不和をもたらすでしょう。開発が自然開発を生み出した現代の我々にはそれがよくわかるはずです。変革的活力は周囲への配慮と優しさがあってはじめて健康的な運用ができるようになります。つまり、叡智とは、どちらが欠けてもなりたたない両極を調和させ、それによって両極を結合させることだとレヴィはとらえているのです。
先ほどの例でいうなら、秩序と平和だけの世界はひょっとしたら全く進歩のない管理社会かもしれません。変化をもとめる気持ちもまた必要なのです。変化をもとめる革新的活力と秩序と平和を調和させ、それらを結合させることで、「環境に配慮しながら進歩も選んでいく」というより輝かしい結論をもたらすことができます。
(余談ですが、この乗り越え方とは別に、「脱構築」というそもそもの二項対立そのものの視座をはずす捉え方もあります)
2のカードは各スートが調和的にはたらくときにもたらすものを表しているのです
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