タロット意味:14 節制(逆位置)


カード概要

キーワード

節度、中庸

カードの説明

羽の生えた天使のような人物が杯から杯に水を流している絵です。マルセイユ版とウェイト版で絵柄はそこまで変化がありませんが、ウェイト版では足元に水が、背景には道と山とアイリスと太陽が描かれています。置かれている状況としては「星」のカードに少し似ていますが、彼(?)の額に描かれているのは天文記号の「太陽」のマークです。
さて、このカードの何が難しいかというと「節制」というこの言葉の意味ではないでしょうか。

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水に、っていうでしょう?」

この節制というほかではあまり使わない日本語は、「temperance」という言葉に付けられた端的な日本語訳です。
辞書で「temperance」という語を調べると、

temperance
 名:U:1(やや古)(信教上の理由による)禁酒
 2(かたく)節制、自制、度がすぎないこと
 三省堂「ウィズダム英和辞典」第3版

とあります。なんだか自律的に節度を保つことなのかな?ぐらいにしかよくわかりません。申し越し掘り下げてみると、「temperance」とは「temperate」の名詞形であることがわかります。そこでtemperateを調べてみると

temperate
【語源は「抑制した」「程良く混ぜられた」を意味するラテン語】
 形:1温暖な、穏やかな 2(人や態度が)節度のある、自制した、温厚な、禁酒の
 三省堂「ウィズダム英和辞典」第3版及び、weblio辞典

とあり、温度(=temperature)なども、ここから派生した語であることがわかります。つまり、このtemperanceの節度とは、物事の穏やかなバランスを意味しています。
さて、「吊るされた男」「死神」という「人称的」カードに続いて突如現れたこの「節制」という「概念的」なカードですが、タロットには、他にも「力」「審判」のような概念的なカードが存在します。これらのカードはタロットカードが成立した16世紀ごろの教訓的なものや、美徳とされたものが反映されています。「力」は理性によって、自らの「獣性」と向き合い、手なづける美徳を描いていました。「節制」で伝えられる美徳とはどのようなものなのでしょうか?

「怒りも、憎しみも、悲しみも、悪い感情なんてありはしないの。全ては程度の問題よ。」

ニーチェは、「キリスト教は俗化したギリシャ哲学である」と批判しました。彼の批判が正鵠かどうかはわかりませんが、ギリシャ哲学よりも後に成立したキリスト教が、イスラム圏を通してルネサンス時代に「再発見」されたギリシャ哲学に影響を受けたことは間違いありません。
アリストテレスは「二コマコス倫理学」の中で、「中庸」こそが徳であると説明しました。アーサー・ウェイトはこの節制のキーワードに「中庸」を含めています。一般的に美徳とされることでも、度が過ぎれば害を成します。例えば、「女帝」のような母性愛は子供の成長に取って不可欠なものですが、行き過ぎて、子供の人格を無視するようになると、それは「害」となります。しかし、全く母性愛が失われてしまえば、子供は生きていくことはできないでしょう。「中庸」(平均とは違います)を保ってこそ、母性愛は子供の成長に真に貢献することができます。
節制の天使はまっすぐに立っており、その水は杯から出ることがありません。胸元の三角形も額の円も「均衡」を表しており、水は絶えないけれども、溢れない状態を保っています。

「死神」の次に来る「節制」は、「死神」の停止を乗り越えたものです。

化学の世界において、「平衡状態」と呼ばれる状態があります。乱暴な説明をするなら、これは、見た目の反応が停止した状態ですが、何も起こっていないのではなく、出て行くものと、入ってくるものが完全に釣り合った状態です。

「個々」の要素は変化しながらも、全体としては不変の安定を保つ。「節制」の天使の水は、そう言った自然の「摂理」「循環」も表しています。

逆位置の節制「停止と均衡を履き違えてはいけないわ」

葉っぱは、木についている間は青々としていますが、追ってしまうと、次第に青さを失って枯れてしまいます。
節制の水は止まっているように見えて循環しています。節制の逆位値は「バランス」を言い訳に、停止したり、無意味な前例踏襲を繰り返すことの危険性を警告しています。均衡・中庸は一見止まっているように見えて、入る動きと出る動きの量が一致する点、「動的に(見かけ上)停止している」状態に過ぎないのです。
どれほどすばらしいものであっても、見直し・更新を怠ってしまったら、淀んで劣化してしまうのです。

生物の進化の考え方に「赤の女王仮説」と呼ばれるものがあります。
赤の女王とは、ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」の登場人物で、「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない」と語りました。これは、生物が生き残るためには、どれほど優れた種であったとしても、進化しつづけなければ、「その場にとどまれない」=滅びてしまう、ということです。

真の平衡は、現状が変わり続けることを是認することによってもたらされます。この世の中でうつろわないものなど何もないのです。そのことを、受け止めて変化を受け入れることを節制は求めています。

このカードからのアドバイス

一般的なアドバイス

変化を受け入れましょう。
以前その方法でうまくいったとしても、今の状況を鑑みることなく、盲目的にその方法を実行するだけならば、あなたは何も学ぶことはないでしょう。この場合、うまくいくかいかないかが問題なのではありません。あなたが、そのことで思考停止してしまっていることが問題なのです。あなたが常に目を向けなければいけないのは「今」この瞬間だけです。
変化に気付き、受け入れ、そして成長していきましょう。
変化を恐れることも、追い求めることもなく、ただただ、受け入れることが今は重要です。

恋愛向けのアドバイス

あなたにも、相手にも、変化する自由を与えましょう。
結婚していようと、恋人どうしであろうと、関係性や思いが変化するのを止めることはできません。
大切なのは、関係性や思いの変化が起こらないように雁字搦めにすることでもなく、
道義的な理由やら常識的な配慮やらの旗印の下に、相手の不孝を責めることでもなく、
ただ、「変化すること」そのものを受け入れましょう。これは、浮気や裏切りを許せということではありません。
気持ちの変化を諦めろということでもありません。
「変化」を恐れずに、明らかにしていってほしいということです。
相手もあなたも心は自由に揺れ動きます。揺れ動いたことを責めたり、嘆いたりするのではなく、白日の元にその揺れ動きを晒して、穏やかにその変化を受け入れて、どうするのか決めていきましょう。

流れようとしている水をせき止め続ければ巨大な力になって堤防も壊しますが、少しずつ流してしまえば案外どうとでもなるものです。変化の自由を相手にもあなたにも認めましょう。

お仕事・転機に向けてのアドバイス

状況把握を怠らないようにしましょう。いかにお金を払った情報であっても、いかなる経験者のアドバイスであっても、あなたの成功を担保することにはなりません。「あなた」が自分の頭で考えて、現状を把握することを忘れないようにしましょう。
状況は刻々と変化するものです。かつて、世界を変えると信じられた多くの思想たちは、新しいものへと取って代わられていきました。
変化する状況に怯えるのではなく、変化を当たり前のように受け止めて、あなたが、「今」を感じ続けることを忘れないようにしましょう。あなたがよくわからないまま収めた成功は、あなたが考え抜いた末の失敗よりも、学習しないという意味ではタチが悪いかもしれません。「変化は常に起こる」と受け止めて、自分の足で前に進みましょう。

参考画像・文献

ウェイト版の図柄


By パメラ・コールマン・スミス Holly Voleyによる1909年版のスキャン画像。ファイルは http://www.sacred-texts.com/tarot/ より

マルセイユ版の図柄


By Jean Dodal (http://www.tarot-history.com/Jean-Dodal/) [Public domain], via Wikimedia Commons

参考文献

アリストテレス「二コマコス倫理学」

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ABOUTこの記事をかいた人

小学校の時にタロットに出会って以来、かれこれ20年以上タロットを取り扱っている。多くの人を占うだけではなく、自作のタロットを作るに至る。大学では分子生物学を専攻。趣味はイラストとゲーム作り。本業の傍ら、タロットを自由に楽しむ人が増えればいいなという思いからサイトを作る。