ペンタクルの8
基本的な解釈
彫刻家が作品を作っています。ウェイトはペンタクルの3のところで、
彫刻家が僧院で仕事をしている。この図柄と「ペンタクルの8」を比較対象してほしい。そこでは徒弟もしくは素人であった者が、報酬を得て今や専門家になっている
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト「タロット公式テキストブック」より
とのべています。ここに描かれているのは修行中の徒弟なのです。
また、ウェイトはペンタクル8そのものの解説については
石材彫刻家が仕事をしていて、作品を誇らしげに展示している。
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト「タロット公式テキストブック」より
と述べています。修行中の彼は、「作ったものを換金して利益を得ること」よりも、「作品そのもの」を大切に思っているようなのです。
また、ペンタクルの7の説明でペンタクルの形で描かれた作物に対して「これは彼の宝である」と説明を加えていることからも、ペンタクルの8の人物にとって、彼の成果物こそが彼の宝であることが伺えます。
いろんな分野で一流と呼ばれる人は、もちろんそれによって名声や金銭的な恩恵を受けているでしょうが、その「名声」や「金銭的な恩恵」はあとからついてきたものであって、「その分野、そのものを極めることそのものに集中した」時期が必ずあるのではないでしょうか。
各スートの8は、そのスートが次のステージへと向かうために必要なステップが示されています。
収穫や成功をあらわすペンタクルが、その道を極めるためには、夢中でそのものに取り組むことが必要であることが示唆されています。
彼の作品はまだ何にも換金・還元されていません。彼は大物になることを夢見て歯を食いしばっているというよりは、その作品を作ることそのもの、準備をすすめることそのものが楽しく、夢中になっているのです。
正位置
修行中、鍛錬中、準備中であることが中庸にはたらいていると解釈します。
何かの分野に打ち込んで修練をすること、今すぐの成功ではなく、まずはスキルを積み上げること、努力をすることが求められていることが描かれています。
また、今自分の進んでいる方向性は正しいため、安心してその道に専心してかまわないことも告げています。
すぐに結果が出るカードではありませんが、あなたの心が動くその道を邁進していくことで結果があとから必ず伴って行くことを示唆してくれています。
逆位置
修行中、鍛錬中、準備中であることが過剰や不足ではたらいていると解釈します。
過剰の場合には、本当は実行のフェーズに移さないといけないにもかかわらず、「自分にはその力がない」と思い込み、「勉強すること」「鍛錬すること」に逃げていることを示唆しています。
「できるようになったら見せよう。」「満足ができたら世に出そう」という姿勢はとても立派ですが、プロトタイプでも世に出して意見をもらうことは大切です。また、人間関係でいうのであれば、「もっと可愛くならないと愛されない」「もっと素敵にならないとつりあわない」と、自分で思ってしまうことでハードルを上げていることが示唆されます。人はいつまでも「徒弟」でいるわけにはいかず、どこかで前に出る必要があります。過剰に準備中の期間をのばさないように警告してくれています。
不足の場合には、今はまだ準備やスキルアップの時期であるにもかかわらず、結果を出したくて焦ってしまっている状況が示唆されます。人は自らが勝手に課した期限(○才までに○○しなきゃ)に勝手に焦り、そして「やっぱりできなかった自分」に自己憐憫を感じる(自己憐憫は一種の麻薬的快楽があります)ムーブを繰り返しがちです。
その人にはその人のタイミングがあり、春に咲く花もあれば夏に咲く花もあるように、いつ芽が出るかはその人自身のタイミングがあります。
プロモーションや見せ方、手段やタイミングに拘ることが悪いことだとはいいませんが、ペンタクルの8の逆位置は、今は焦らず自分のできること、自分のスキルアップにつながることに取り組むべきであるとアドバイスをしてくれています
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