ワンドのクイーン
親しみやすそうな女性が王座にすわっています。手には大輪のひまわりの花をもち、手前には彼女を守るように1匹の黒猫がすわっています。ウェイトはこのカードにこのような説明を加えています。
ワンドは生命と活力のスートであるから、このスートを通じて登場するワンドには葉がついている。このクイーンはキングと同じ性格をもっているが、より魅力的である。
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト「タロット公式テキストブック」より
そしてキングにはこのような説明をつけています。
このカードに登場する王は、熱意があり、柔軟で活力も気品もある。手には花のさいたワンドをもち、他のスートの王と同様王冠の下には棒状の指揮棒を被っている。王座にはライオンのシンボルが描かれている。
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト「タロット公式テキストブック」
つまり、彼女はキングと同様に「熱意があり、柔軟で活力も気品もある」状態で、キングよりもより魅力的であると説明されています。これはどういうことなのでしょうか?
クイーンのカードは各スートを深く理解したときにもたらされるものが描かれています。
ワンドのカードはウェイトが説明しているとおり、「生命」と「活力」のスートです。数字のカードや他のコートカード では、その活力をつかって自らの勢力を拡大しようとしていく様子がえがかれていました。
でもそもそも、この「活力」の源泉とは何なのでしょうか?
活力の源泉はいうなれば、私たちの「命の炎」そのものです。
私たちが生きることを喜び、今ここに命があることの恩恵を受け取ることができたとき、私たちのエネルギーは喜びとともに拡大をはじめます。つまり、ワンドの活力の源泉とは「命そのもの」であり、そしてその命がもたらす喜びそのものなのです。
ワンドのエネルギーを外側に拡大していくことに使う他のカードとちがって、ワンドのクイーンを勢力の拡大にはつかいません。今ここに生きる喜び、人生を謳歌することに彼女のエネルギーは使われており、そしてそれが彼女を魅力的に輝かせているのです。
正位置
正位置では、活力や生きる喜びといったこのカードがもつキーワードが中庸にはたらいていると考えます。このカードが出てきた時にはあなたは、前に進むための活力や、問題を乗り越えていく力がうちから湧き上がるのを感じることができるようになるでしょう。エーリッヒ・フロムは「愛」というは「愛されるべき対象」があるから引出されるのではなく、「愛する」という能動的な心の働きによって生み出されると説明しました。ワンドのクイーンの「愛」もそうしたものです。前向きに人生を喜び、楽しむ姿勢こそが問題を解決すると教えてくれるカードです。
逆位置
逆位置の場合は、正位置のキーワードが過剰や不足ではたらいていると考えます。
不足の場合には、エネルギーの減退やモチベーションや気力の低下について警告がされています。端的にエネルギー不足の状態です。過剰の場合には、善意にみちたお節介や余計なことを相手にしてしまうことに対する警告です。明るく周囲を元気付けてくれる振る舞いはとても素敵なことですが、何事にも限度があります。行き過ぎた干渉や励ましは、時に相手にとってマイナスになることもあります。少し落ちついて状況を眺める必要があることを教えてくれています。
救いとしてこのカードがもたらされる場合には、穏やかで静かな時間がとれるようになることを表す場合もあります。
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