ワンドの10
基本的な解釈
棒をたくさん抱えて運ぶ男がえがかれています。
棒は男にとって負担になっているようです。
アーサーウェイトはシンプルにこの絵に対して「運んでいる10本の杖の重さに押し潰されそうな1人の男」と説明をくわえながらも、正位置の意味のところで、異例ともいえる長さの解釈をつけています。
多くの矛盾する意味をもつカード。主たる意味は単純に言えば抑圧であるが、財産、利益、成功という意味もあり、またこうしたものから受ける抑圧もあらわす。またこれは、みかけだおし、見せかけ、不誠実をあらわす。彼が杖を運ぼうとする場所は彼の到着によって被害をうけるかもしれない。
ソードの9と隣接していると成功はおぼつかない。もし法律に関する問題なら損失があるだろう。
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト「タロット公式テキストブック」より
ここに書いてある意味を素直にならべると、成功、抑圧、不誠実と本当に意味が多岐にわたります。なぜこの1枚にこのようなたくさんの意味があるのでしょうか。
このカードは、ワンドの終着点を表すカードです。ワンドは無限の拡大、エネルギーの発露を意図します。意欲は無限であっても、必ず人間には活動限界があります。
このカードは限界を超えて働いているカード、と解釈すればウェイトのそれぞれの解釈も読み取りやすくなるのではないかと思います。
限界を超えた働きはその人に財産や成功をもたらすでしょう。しかしすべてのすりへらせての働きは同時にその人の自由意志や精神を抑圧することとなるでしょう。また、がむしゃらに働く人は手段を選ばないため不誠実にもなりえます。そして働き者は周囲を「はたらかせたがる」人でもあります。そのため、彼がいることで周囲は「いい迷惑」を被ることもあるでしょう。このように、このカードが「過剰なはたらき、限界をこえたはたらき」をしている状態だと考えることでこのカードのもつ多様な意味が理解しやすくなるのではないかとおもいます。
正位置
正位置では、このカードがもつ「オーバーワーク」「限界をこえた働き」をそのまま解釈します。
限界をこえた働きは、あなたに思っている以上の成果をもたらすことになるでしょう。ただその一方で抑圧された状況や限界をこえて肉体が悲鳴をあげている状況も示します。人間関係の場合には、あなたがその人間関係にいれこみすぎて、自分を省みることができなくなってしまっていることを示すこともあります。
逆位置
逆位置では、いつもは過剰や不足でわけて解釈をしますが、このカードはそもそもが「過剰」にはたらいているカードです。また、もとより正の側面と負の側面を強く併せ持ったカードです。そのため、逆位置の意味も複雑になってきます。単純に「徒労」(働かされた分にみあったリターンがない)をあらわすこともあれば、重荷からの解放を表す場合もあります。正位置同様、このカードは周囲のカードとの配列で意味が大きく変わってくると考えたほうがいいでしょう。
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