9のカード
各スートの9のカードは、第9セフィラのイェソドに対応しています。
イェソドは、星としては「月」に。概念としては「基礎」に対応します。
エリファス・レヴィはこの9に対して以下のように説明をしています。
九という数は神の反射の数である、すなわち神という抽象的偉力を表わすが、同時にまた信仰における行き過ぎ、そこから発する迷信と偶像崇拝をも表わす。
それ故ヘルメスはこれを秘法伝受の数字としたのであり、それというのも秘法伝受者は迷信の上に君臨し、また迷信を利用して君臨し、そして外套にくるまり、燈火で照らされ、杖を助けに、暗闇の中を独りで歩くことが出来るからである。
理性はすべての人間に授けられているが、しかしすべての者がその使い方を心得ているとは限らない。身につけるべきものは学問である。自由はすべての者に差し出されている、しかしすべての者が自由になりうるとは限らない。手に入れるべきものは権利である。力は万人のためにある、しかし万人がそれに支えられる術を心得ているとは限らない。確保すべきものは実力である。
人文書院 エリファス・レヴィ「高等魔術の教理と祭儀」ー教理篇ーより
レヴィは、9は「神の反射の数」であると述べ、神の「抽象的偉力」のみならず、迷信や偶像崇拝をも表わすと示しています。
また、その後、「理性」だけでは使い方を心得ておらず「学問」が必要であり、「自由」だけでは「自由」はなり得ず、「権利」が必要といった形で、それぞれの概念の実現には、それを正しく行使するために手に入れるべきものが描かれています。
また、ヨハネ黙示録、ヨブ記など、聖書の中の様々な箇所で、神は「真なる信仰」を試すために偶像崇拝であったり、災厄であったりを人々にもたらします。
また、「悪魔」のような「不信仰」は信仰があるからこそ存在するものです。
これはグノーシス主義にもつながります。つまり、神の偉大さはその偉大さゆえに、迷信や偶像崇拝といった「反射」を生み出すのです。
そのため、各スートの9では、そのスートが完成するために現れる「葛藤」「反射的な出来事」が描かれます。
各スートの完成形は10のカードです。10のカードの「反射」としての要素の「9」として捉えることで各カードの本質が見えやすくなるのかなと思います。
各スートの9について
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