第25話:タロットカードの意味をしろう! 21 世界
- 世界のカードの構図、モチーフを理解しよう
- 鑑定で世界が出てきたときの意味をしろう!
25-1 世界ってどんなカード?


実際このカードに「時間」ってタイトルがついてる翻訳バージョンもあるんだよ。荒木先生がそれを知ってたのかはわからないけどね




でもさあ、このカードのどこが世界なの?
普通世界を説明するなら地球儀とか書くよね?

そう、このカードは「このカードで世界のどこが世界なの?」っていう切り口から入っていくとわかりやすいんだ
このカードにはね、「完全」とか「完成」っていう意味がある。
つまり、このカードの中ではすべてのものが完全にそろってて完成してるはずなんだ
じゃあこのカードには何がかいてある?

それからクリスマスリースみたいな輪っかがあって・・・
んで、隅っこには人とワシと牛とライオンがかいてあるね。
これって確か運命の輪の四すみと同じモチーフなんだよね

恋人のときもそうだったんだけど、ウェイトは時々、マルセイユ版の他のカードに似せることで構図の再編をすることがある。
運命の輪を世界に似せたことから、世界のカードについても考察ができると思うんだ
じゃあ順番に各モチーフの説明をしていこう
まず、中央の女の人だけどわざわざ布を被ってることから
彼女が両性具有であるっていう考察をよく見るね
また、彼女が唯一、バトンを2本持っている人物だということも両性製・完全制を寓意してるっていう考察もよく見る




ただ、これも絶対にこう考えないといけないわけじゃない。
現にウェイトは
「中央の人物がイニシエーションの最高の段階に達した賢者をあらわすという説明は安易にすぎるだろう」って述べてるし、
「宇宙の完成と目的、そのうちなる秘密神を理解する喜びをあらわす」とはいってるものの、彼女の性別については言及はしていない
ただ、彼女が「全てを手に入れた人」「完成・神との合一の喜び」を味わっている人だとは考えてるみたいだね
僕がウェイトの言葉のネタ元として引用してるのは、日本のタロット占者の第一人者のアレクサンドリア木星王先生が解説してる本なんだけどさ

「実占上では以上で述べたカードの意味のうちどれに採用するかについては、純粋に技術的問題であり、各占者の自由裁量に任されている。よって当然、その自由裁量の中には神の啓示もあれば、ただの当て推量も含まれる。そもそもタロット占いの意味を当てはめようとすること自体が見当違いの所為である」って書かれてる
ウェイト自身も、カードへの解釈やモチーフの説明は加えるけど、それについてどう採用するかは占者のインスピレーションに任せるって言っちゃってるんだよね。


で、女の人のまわりにある輪っかだけど、これは上下をクロスマークのリボンみたいなもので装飾することでわざわざ無限(∞)のマークに見えるようにしてある。
そこからこれが、永久不滅であるもの、永遠に続くものであることを寓意してるとも言われてるね。
周囲に4つのモチーフが並んでる構図だけど、これは新約聖書の4つの福音を示してるとも、地下風水の4元素を示してるともいわれている
いずれにせよ運命の輪では一色刷りで現実感がなく、準備中であった4つのモチーフが世界では完成していることになる
そうなってくると、やっぱり運命の輪と世界の違いを大切にしたほうがよくて、そうすると真ん中に運命の輪には存在しなかった「人間」を置いたことで完成する世界ってなんなんだろうっていう話になるんだ


人間だけが固有名をもっていて、
それぞれの死を区別する
こう言う話をするとね、「ペットや動物にだって個体はあるし親子の関係はあるし、名前をつけることもできるからそれは人間だけの特徴じゃない!」って反論がでそうなんだけど
少なくとも人間が分かる言葉で、人間がわかるように固有名詞をつけるのは人間だけだから
それも結局「人間から見た人間の批判」みたいなかんじになっちゃう気がするんだよね。
まあともかく、運命の輪では存在しなかった「人間」がこのカードでは中心に据え得られている
僕はこれは、世界はいつでもそこにあるんだけど、人間がそれを認識して、そして名前をつけることで完成していくっていう「神の創造の本当の完成」を寓意してる気がしてならないんだ


一言でいうなら
「君がいないと君の世界は完成しない」ってことなんだよ


世界で完成する
ここまでいろいろなことがあったんだけど、世界にどんなものがあったって「君」という認識者・観測者がいないかぎり、世界は本当の意味では完成しないし、実現しないんだよ
この話は踏み込むときりがないし、終わりがない。
僕自身も山ほど言いたいことや思いつくことがあるけど
本当にシンプルに言うとしたらそれだけなんだ
ホップは「青い鳥」のお話しってる?

鳥は実はおうちのなかにいたんだよね

「青い鳥」では
「なんだ、これがぼくたちさんざんさがし回ってた青い鳥なんだ。ぼくたち随分遠くまで行ったけど、青い鳥ここにいたんだな。」って、家にいたキジバトが「青くなって」「青い鳥」になってることを発見する
じゃあ、はじめっから家からでなきゃよかったじゃんって思うけどそうじゃない。
チルチル・ミチルは家からでまわってあちこち方々探し回ったから、家の中にいる青い鳥が青くちゃんと見えたんだ
タロットも同じだよ。愚者からはじまって色々なものを見てきた。聞いてきた。
でも実はそれは外側になんて何もなくて、いろいろあるようでも、結局は見ている「自分」はずっと定点で
世界は「外」と「自分」がすべて「一つ」であると気がついたときに完成するんだ
このあたりの「人間」の発見や特権的地位についてはミシェル・フーコーの「言葉と物」に出てくるベラスケスの絵をつかった話がすごく面白いからちょっと難しいけどぜひ読んで見てね

結局すべては自分の中に完成している、神と自分ははじめから一体であったと気がつくことで世界は完成するんだ
だけど、ウェイトはこの世界の次に愚者を置いてる


愚者のカードはいわるゆワイルドカードで、マルセイユ版は番号をもたなかったのに
ウェイトはわざわざ0の番号をつけた。
0は何をかけても0にしてしまう悪魔の数字だ
完成した世界は、そこでおしまいで、またそこから新たなステージがはじまっていくんだよ


タロットカードを引いてる時点で、その人は生きてるわけだから生きてる限り終わりはない。
完成はまた次のスタートのはじまりだとタロットは教えてくれてるのかなと思うよ
25-1 世界ってどんなカード?
25-1−1 カードの説明
2本のバトンを持った女性の周りを楕円型の月桂樹が取り囲み、月桂樹の周りには、人、鳥、ライオン、牛という4種類の動物が描かれています。
マルセイユ版とウェイト版で構図にほとんど変更がなく、かつ、このタロットカードには「世界」という名前が付いています。
初めて見た人にとっては、少しとっつきにくい絵柄もあるかもしれませんが、ウェイト版の大アルカナは、タイトルと描かれた内容は非常にわかりやすく対応しています。太陽のカードには太陽が、運命の輪には運命の輪が、女帝のカードには女帝が、死神のカードには死神が、力のカードには心の強さを表す女性が、といった形で、必ず、そのカードのタイトルがわかりやすくカードの中に描かれています。
さて、そう考えた時に、このカードが「世界」であるとは、どういう意味なのでしょうか?
例えば、身の回りの「世界」を描いた地図や地球儀には、必ず海や大陸が描かれています。しかし、このカードにはそういったものは一切描かれていません。どうやら、ここでいう「世界」とは、地理上の世界、すなわち「地球」とは異なる意味を持つようです。ここには何が描かれているのでしょうか?
「世界」のカードと他のカードを比べてみると、「世界」のカードは「運命の輪」のカードと共通点があることに気がつきます。
どちらも中央に輪のような構造を持ち、四隅の同じ位置に人、鳥、ライオン、牛が描かれています。(余談ですが、ウェイト版では、運命の輪の方はマルセイユ版になかった、4隅の人や動物が描き加えられています)しかし、運命の輪では4隅の存在は一色描きで、全身が描かれているのに対し、世界ではフルカラー(??)で、顔のアップで描かれています。
また、中央の輪の構造を見ても、運命の輪はスフィンクスやオシリスのような人智を超えた生き物に輪を支配されていますが、世界では人間が輪の中心にたっています。どうも、運命の輪と世界は似たような構図を持ちながら、運命の輪では徹底的に架空の存在が描かれているのに対して、世界では現実に存在するもので構図が埋められていることがわかります。
運命の輪は11番目のカードで、ちょうど大アルカナの真ん中です。その大アルカナが完結する「世界」は、運命の話からどのような変貌を遂げたのでしょうか?
選ばれた者だけが光の国に復活する「黙示録」の風景を描いた「審判」の次にこのカードはやってきます。超越存在とヒトが向き合った「審判」の次に来るこのカードでは、様々な「結合」のモチーフが描かれています。例えば、中央の女性は2本の棒を持っています。この棒は魔術師が持っているのと同じものです。大アルカナでは愚者、皇帝、女帝、法王、正義など、棒や剣や笏のような棒状のものを持つ人がよく描かれていますが、2本の棒を持っているのは彼女だけです。また、彼女を囲う円環は上下がつなぎ合わされたように描かれています。そして、局部を布で覆われた彼女は「両性具有」なのではないかと解釈されることがあります。
彼女はすべてを「結合」し、善と悪、内部と外部、客観と主観といった二項対立を脱構築・再結合する存在です。すべては一つにつながっており、もはや、奇跡も災いもすべて自分であると受け止めることで世界は完成し、あなたと世界と奇跡は一つになることをこのカードは描いています。このカードで「世界」は完成します。様々なものが描かれてきた大アルカナのモチーフたちは、すべて「あなた」の中にあるものであり、そこに優劣は存在せず、ただ、「あなた」だけが世界であったと気がついた時、あなたも世界も完成すると、このカードは告げているのです。
25-1-2 正位置での解釈
大アルカナのおしまいに来るこのカードは、成就、完結、完成などを意味します。
端的には何かのプロジェクトの完成や、あなたのこれまでの努力が報われることなどを表すでしょう。しかし、それ以上に大切なのは、あなたがその「完成」によって次のステージへと進むことです。
成功を表すカードは、太陽や、星など他にもあります。戦いの末での勝利は戦車の方がより具体的に示してくれているでしょう。このカードが表しているのは、機の成熟による成功や勝利なのです。
あなたはこの問題に対して、十分に力を尽くし、そして収穫の時を迎えました。世界のカードは、あなたがその収穫を受け取る資格を有していることを教えてくれていると同時に、次のステージへと進む準備ができたことも告げています。
この「世界」は完成しました。今こそ、あなたは新しい「世界」へと旅立っていきましょう。
25-1-3 逆位置での解釈
世界のカードは「完成」「達成」を表しますが、逆位置でこのカードが出てきたときには、その成果に対して満足が得られない状態を表します。
さて、では満足や達成に満足ができないとは、どのような状態を指すのでしょうか?
子供の頃、キャンプで作った、少し焦げたカレーがとても美味しかったのは、あなたがそのカレーを作るのを心から楽しみ、一生懸命頑張ったからです。手を抜いても、一生懸命頑張っても、実は物事は完成します。例えば、キャンプでカレーを作る時も、あなたが手を抜いて遊んでいたとしても、他の人が作ってくれたらカレーは完成するでしょう。しかし、出来上がったカレーを、あなたは一生懸命作った他の人ほどおいしく味わうことができるでしょうか?世界の逆位置が指す、完成や達成への不満は、実はそれまでのプロセスに対する自分の力不足や取り組みの不足に起因しています。
世界のカードの楕円の輪は、0の形にも似ています。世界は21番で完成しますが、0をかければまた、そこからスタートすることができます。逆位置の世界は、今抱いている不完全燃焼の感覚を、次の挑戦に生かしてほしいとあなたに伝えてくれています。
25-2 占いで世界が出てきたとき受け取れるメッセージ
25-2-1 一般的なメッセージ
正位置
あなたの努力が報われるときがやってきました。
これまであなたは、いろいろなことに挑戦してきました。今あなたが歩けているのも、自力でモノを食べられているのも、自転車に乗れているのも、あなたがそれに挑戦して、できるようになるまでやったからです。あなたは、あなたの取り組みによって出来上がっています。あなたが抱えている問題に対して、あなたの取り組んだことの成果が、今あなたに返ってこようとしています。その成功を十分に喜び、受け取って、次のステップへと進んでいきましょう。
逆位置
今の成果に不満を訴えるよりも、その不満から学び、次のステップに進んでいきましょう。
良くも悪くも、今の悩みに対して、答えは出てしまっています。あなたの心に今感じていることが、まさにこの問題に対する答えです。咲いてしまった花の色を変えることができないように、この問題そのものに対しては、もうあなたがコントロールできるタイミングではないでしょう。その今の成果に不満を訴えるよりも、その不満から学び、次のステップに進むことを選択しましょう。成功しても、そこから何も学ばなければ、それは失敗ですが、失敗は、そこから学ぶことができたならば、それは成功です。次のステップのために、何を学ぶことができるのか、真剣に考えてみましょう。
25-2-2 恋愛でのメッセージ
正位置
あなたの悩みに対して、あなたが納得できるような一つの結果が返ってきます。
あなたはこれまで、この関係性に対して、いろいろなアプローチをしてきたのではないでしょうか。今こそ、その結果があなたに帰ってくる時です。あなたはこの関係性に対して、十分すぎるほど努力を重ねてきました。その努力が報われそうです。関係が成立しても、破綻しても、そこで終了ではありません。関係が成立したら、今度はその関係を維持・発展させ、そこからあなたがさらなる成長を遂げることが求められます。関係が破綻したら、その傷をあなたが自ら癒し、そして新たなステージに進むことで、やはりさらなる成長を遂げることが求められます。いずれにせよ、あなたはこれまでの成果を受け取り、次のステージへと進む準備が出来ました。あなたの愛の新しい世界を開いていきましょう。
逆位置
今の関係に不満を向けるよりも、そこからあなたが学べることを考えてみましょう。
あなたの目の前の結果は、そう簡単には変わらないかもしれません。ですが、その目の前の結果からあなたがより良い関係性を築くために必要なことを学び、あなた自身が変わることができたならば、あなたの目に映る世界は変わっていくはずです。起こってしまった結果に対して嘆いたり、焦ったりするのではなく、あなた自身の成長に貢献するものはないか、考えてみましょう。恋愛がうまくいっても、行かなくても、それは一つのスタートでしかないのです。貴方自身自身成長すること、変わることに軸足を置いてみましょう。
25-2-3 仕事でのメッセージ
正位置
新たなステージがあなたの前に広がっています。
あなたは今まで、自分の仕事に対して様々な努力を重ねてきたことでしょう。その努力が報われる時が来ています。転職やスキルアップに対して、「現状が耐えられないからやむおえず行う」というイメージを持っている人もいるでしょうが、緊急避難として行う転職よりも、自分の出来ることを完全にやり切って、新たなステージへと進むことを選択するという前向きな気持ちで行った方が、より、前向きな気持ちで進んでいけることができます。あなたは次のステージに進む準備が十分に整いました。今いる世界に愛と感謝を捧げて、新しいステージへと進んでいきましょう。
逆位置
現在の結果を受け止めて、前に進みましょう。
タロットで、仕事や転職について占っている貴方は、今の仕事や現状に対して不満があるのではないでしょうか。「私はこんなところにいるはずじゃない」「周囲の環境に不満が止まらない」こんなモヤモヤを抱え、かつ、そんな現状を打破したくて、いろいろと取り組んでいるかもしれません。しかし、今目の前で起こっていることに不満を訴え続けている限り、目の前に不満が展開されている世界は変わりません。あなたが目の前に直面している結果は、すべて、あなたが引き寄せたものです。あなたが巻き込まれているように感じていることも、すべて、あなたが作り上げた世界です。その成果に対して不満を発散するよりも、今はその結果を受け止めて、「私は今ここから何を学ぶことができるのだろう」と、あなた自身が成長できることを探してみてください。今がどんなに不満であっても、あなたが今いる場所で何かを学ぶことで、次のステージへと進んでいくことができるはずです。
これからのお話

ここから僕はどうやってタロット勉強してけばいいの?

次回からはいろんなシチュエーションでどんなふうに読んでいくのかの例も紹介してみるから
ホップも一緒にカードを読んで見てね
友達ができるときもね、最初はあんまりお話ししてくれなかった子が、
一緒に時間を過ごしてくうちに、いろんなことをお話ししてくれるようになるよね。
カードもおんなじだよ。
たくさん触って、たくさん読んで、いっぱい考えた分だけ、カードは仲良くなって君にいろんなことを教えてくれるようになる。
星の王子様で、王子様はキツネやバラの花と一緒に過ごしたり、手間をかけてあげたりすることで、「特別なキツネ」や「特別なバラの花」になるのを体験してるよね
カードもそれとおんなじなんだよ


タロットを使うっていうことはおみくじみたいに当たり外れを探るものでもなければ
辞書みたいに機械的に意味を当てはめるものでもなく、ちゃんと勉強した上で、本当にただ、カードを読んでカードから感じて、「自分のタロット」を作っていくってことだと僕は伝えたかったんだ
とりあえず、すべてのタロットの意味を掲載したくてここまでは一気に更新を進めたけど
ここから先は、許可をいただいた実例を丁寧に紹介していく形で占い例を掲載していければと思ってるよ
一人でも多くのタロットをやって見たいって言う人が僕たちをきっかけに
タロットを楽しんでくれたらいいなって僕は思うよ

じゃあこれからもよろしくね。むぎ

前のお話
次のお話
25-2 占いで世界が出てきたときに受け取れるメッセージ