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タロット占いやり方講座ーなぜタロットは当たるのか?

むぎのタロットの力です

なぜタロットは当たるのか?

「タロット占いは当たるんですか?」「なぜ当たるんですか?」タロットを占いの道具として使うときに、こういった質問を受けることがあります。また、自分でタロットをやってみたいと思う人や、今タロットを使っている人も、しばしば、この疑問にぶつかることがあるでしょう。このページでは、タロット占いが当たる理由について、私の考えをご説明させていただきます。

タロットカードは「後付け」のカード


私がタロットカードに感じている最大の魅力は
「タロットカードは後付けでできた占いの道具」であるという点です。
かつて、カバラ数秘術で生計を立てておられる方から、「タロットはカバラから作られた」というご指摘を受けたことがあります。実際、多くのタロットがカバラに基づいた解釈を行っています。しかし、本来、カバラとタロットは一切関係がありません。また、占星術やユング心理学など、様々な物とタロットを関連づけて説明する試みもなされていますが、本来そう言ったものともタロットは一切関係ありません。極論してしまえば、タロットカードは本来は、単なるプレイングカードであり、いろいろな意味や関連を落としこめそうな「からっぽの箱」です。タロットカードにはランダムにカードを引いて、そして配置させるという機能以外は本来的には何も備わっていません。そこに後述する様々な人物が自分たちの読み方を導入してできたものが今日のタロット占いです。

「え?それってダメなんじゃないの?」「タロットを読む理由を否定してしまっているんじゃないの?」

と、感じられる方もおられると思います。しかし、その、本来関連のないものをタロットに結びつけられつづけてきたこと、本来は占いの道具ではないことで、タロットは様々な作者の手を渡りながら完成された二次創作の代物となり、他の占いにはない面白さと汎用性を手に入れることになりました。

タロットカードは1枚1枚それぞれ意味を持っているにもかかわらず、カードを複数枚配置することによって、カード1枚1枚の意味を超えた「場」(=世界)がそこに展開されます。ヴァルター・ベンヤミンは「砕け散った瓦礫が結ぶ一瞬の星座」が美であると表現しました。タロット占いが結ぶ世界もまさに、その一瞬の星座です。

ランダムに引いたカードを並べたとき、そこに一瞬の世界が出現する。その世界を読み手が読んでいくうちに、占う対象や読み手の世界がそこに展開されていく。それが、タロットカードの面白さであり、醍醐味ではないでしょうか。

タロットカードが「占いの道具」になるまで

「タロットカードは古代エジプトの文化を受け継いだジプシーたちがもたらした」「カバラの秘術をカードの形で伝承したもの」などという説がタロットカードの説明書に記載されていることがあります。ここから読み取れるのは、「何か神秘的な後付けがあるからタロットは素晴らしい」という、神秘性や歴史を占いの信憑性の担保としたい願望です。
しかし、こうした歴史は後から付け加えられたもので、タロットカードはもともとは占いの道具ではありませんでした。

記録に残っているタロットカードの一番古い文献は、15世紀半ばごろ、ボニファティウス・ベンボという人物が、ミラノのヴィスコンティ家のために作ったプレイングカードのセットだと言われています。ベンボのカードは、4スート×14枚の計52枚のカード(小アルカナや現在のトランプカードのようなものだと思ってください)と、様々な場面を描いた22枚の絵札のカードがセットになっていました。この22枚のカードはtrionffi(トリオンフィ)と呼ばれており、トリオンフィはのちに英語ではtriumphs(トライアンフ)または、trumps(トランプ)と呼ばれるようになり、その後、「タロッキ(Tarocchi)」というイタリアのカードゲームの原型となりました。

つまり、もともとタロットカードはトランプと同じ、カードゲームの類だったのです。ではこのカードはいかにして、現在のような占いの道具になったのでしょうか?

「占いの道具」として発売された世界最古のタロットは、1789年のエテイヤによる「エジプシャン・タロット」であると言われています。このタロットはフランスで発売されましたが、このころフランスはフランス革命の動乱の時代でした。動乱の時代というのは、それまで世界を支えていた知識の成立背景が揺らいでいる時代でもあります。M・フーコーは「言葉と物」の中で、18世紀から19世紀を「表象」の時代から「人間」の時代の転換期と捉えました。歴史的な用語で言い換えるなら、それまでの「理性」や「合理性」といった客観性に重きを置いていた「古典主義時代」から、人々の「主観」や「感受性」に重きをおくようになった「ロマン主義時代」への転換期でした。

そのような時代に、「人が本来持っているあり方=民族としての独立」と解釈をした人は革命家となり、「人が本来持っているあり方=キリスト教以前のスピリチュアリティ=オカルティズム」と解釈をした人はオカルティストになりました。
そのようなオカルトムーブメントの中で生まれたのが、占いとしてのタロットカードです。エテイヤのタロットはその名の通り、古代エジプト風に改変されていますが、これは同時代の考古学者にしてベストセラー作家、ド・ジェブランの「原始世界」の影響を受けています。「原始世界」はキリスト教の影響を受ける以前の原史世界、古代エジプトに人々の理想郷を求める書物で、その中で、タロットカードは古代エジプトをルーツにしていると述べられています。現在では、歴史に関する書物は発掘調査や文献調査など、「ソース」を明らかにした上で考察を進めるのが当たり前ですが、ド・ジェブランの書物はほとんどが、(現代の我々からすると)ソースが希薄で、ほとんどがド・ジェブラン自身の考えをソースにしていました。つまり、タロットカードの出自をエジプトに求めることそのものが、(ド・ジェブラン自身は本気でしょうが)極めて後付けで創作的な要素が強い発想であるということになります。その、ド・ジェブランの創作をさらに独創的に発展させたのがエテイヤのエジプシャンタロットになります。こうして、15世紀に作られたタロットは、18世紀後半に、紀元前以前の歴史を追加されることになりました。つまり、タロットは「創作物」だったのです。

なぜ「タロット占い」は残ったのか。

 エテイヤによって、占いの道具となったタロットは、その後、ロマン派詩人でもあるオカルティスト、エリファス・レヴィによってカバラとの関連付けられ、さらにその影響を受けたイギリスの秘密結社、黄金の夜明け団のアーサー・ウェイトによって、現在世界中で出回っている名作タロット、ウェイト版タロットが作られました。

 このように、タロットは徹底的に後付けの占いツールであり、その機能は意味ありげな絵札をランダムに並べて、そこに世界を浮かび上がらせるということだけです。いわば、単なるプレイングカードに過ぎないタロットが、なぜ今日ここまで占いのツールとして発展し、そして指示されているのでしょうか?私は、大きく分けて2つの理由があると考えています。

理由①:多様性の十分な確保

先ほども述べた通り、タロットの機能は、意味ありげな絵札をランダムに並べて、世界を浮かび上がらせることだけです。しかし、この、絵札を並べて、1枚1枚のカードだけではなく、その配置、さらには配置全体から読み取れるメタ的な情報、が生み出す多様性は無限大です。また、その結果は、カードを引くたびに変化します。

例えば、同じ占いであっても、占星術や四柱推命のような生年月日など先天的な物で決まってしまうものは、その人にすべての情報が紐付けされているため、結果の多様性は、読み手の知識と置かれた状況だけに左右されます。おみくじのように、結果が書かれた紙を引くと言う方式では、結果はその紙の種類だけしか用意できないことになります。

ところが、カードを並べるタロットカードのスタイルでは、占いの結果は、無限大に変化します。例えば、大アルカナ22枚のカードを並べるだけで、理論上、63840通りの結果が展開されることになります。現在では、オラクルカードなど、様々な「カード」を使った占い方法が提案されていますが、これほどまでにカードを使った占いが支持されているのは、カードを並べるというその手軽な方法で、驚くほど多様な占いの結果を担保できることに一つの理由はあるでしょう。

理由②:元のカードの意味の喪失

理由①だけであれば、タロットだけではなく、トランプやUNOカードであっても、占いの道具としては十分なはずです。ところが、トランプ占いはタロットカードほど(少なくとも日本では)占いの道具として普及しませんでした。タロットカードが占いのツールとして魅力的であるもう一つの理由は、タロットカードが忘れ去られた時期があり、その間に元のカードの意味がある程度失われてしまったことが挙げられます。歴史のところで述べた通り、タロットカードは15世紀の産物で、イタリアではカード遊びのセットとして普及しました。ところが、長い年月の間に、プレイングカードとしてのタロットは忘れられ、ド・ジェブランがタロットを「再発見」した18世紀の後半には、フランスではほとんど遊ぶ人がいなくなっていました。そのため、15世紀のイタリアでは一般的であった徳目や説話や寓意が、タロットが占いツールとして日の目を浴びる頃には、ある程度失われてしまっており、そこに、人々のイマジネーションの入る余地が残されていました。このイマジネーションの入る余地こそが、今でも、タロットカードが人々をひきつけ、新作のカードが生み出される原動力となっているのではないでしょうか。

タロットカードの楽しみ方・読み方

ここまでの話をまとめると、

1.15世紀にプレイングカードとして作成されたタロットカードは18世紀のオカルトムーブメントで占いの道具として「再発見」された
2.カバラとの関連や、エジプトを由来とする考え方は、18世紀以降に「後付け」された
ということになります。しかし、ここまで読んだところで、
「ちょっと待って。結局タロットが当たる理由になってないきがするんだけど」
「どうやってタロットって読めばいいの、っていう疑問の答えになってないけど」
と、感じる方も多いでしょう。タロットは、「正しい読み方」や「正解」を求める人にとってはガイドの多すぎる道具かもしれません。また、「結果の正しさ」を神秘性や歴史に求める方々にとって、タロットカードのエジプト由来説や、カバラとの関連は後付けであるという主張はプラスにはならないものでしょう。

しかし、タロットの面白さが「自由さ」にあるとしたらどうでしょう。古典力学で世界が完全に説明されると考えられていた頃、宇宙は決定論的で、初期値が全て明らかになっていれば、宇宙を構成する粒子の振る舞いは完全に予測することができると考えられていました。しかし、現在、宇宙を構成する粒子は確率論的にしか予測することができず、観測することによって一つの解に収縮することが明らかになりました。

今お話しした波動関数の収縮とタロットは直接関係ありません。しかし、もとよりタロットは、本来関係のないものたちが、偶然出会った交差点のような存在です。

ロラン・バルトは「作者の死」という言葉で、作品の鑑賞や解釈を、作者の意図を正しく理解する(これはそもそも原理的に不可能です)ことに頼らず、読者が創造的に読むことを提唱しました。

ボニファティス・ベンボが描き、ド・ジェブランがエジプトとつなぎ、エテイヤが再開発し、エリファス・レヴィがカバラと結びつけ、アーサー・ウェイトが改造し、そしてまたトートのタロットのような独創的で素晴らしいタロットデッキが生まれ続けるタロットカードという素材は、他の占いに比べて、圧倒的に自由に読まれやすく、また、誰もが参加できるカードなのです。

もちろん、カード自身の意味や構図を理解することは大切です。また、カバラとの関連やアーサー・ウェイトがウェイト版を作った時に盛り込んだ意図なども理解する必要もあるでしょう。

でも、あなたが開いたカードの意味は、あなたが自由に読んで構わないのです。

カードを混ぜる。並べる。そして、展開する。その時に開かれる一瞬の世界を自由に読むこと。これがタロットのダイナミズムです。カードは単なる思わせぶりな道具かもしれませんが、それを読む「あなた」の姿が、タロットが作った世界には必ず映し出されます。カードを媒介に、ぜひ、あなたの、そしてあなたと相談者の世界に飛び込む体験を楽しんでください。

参考文献

*タロットカードの歴史については、伊泉龍一先生の著書を参考にしました。


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