タロット意味:09 隠者(正位置)


カード概要

キーワード

観照、内省

カードの説明

ランタンを持った老人が、佇んでいます。マルセイユ版では、老人はランタンを見つめていましたが、ウェイト版では、老人の視線は足元に注がれ、そして、ランタンも、先ではなく、彼の足元を照らしています。のページで、アーサー・ウェイトが、「力」と「正義」の順番を入れ替えたことに触れましたが、「力」の次に、この下を向いた「隠者」が来ることによって、彼がその目に何を写そうとしているのか、窺い知ることができます。
「なかったのだよ。わたしと獣の境界なんて。」
「戦車」で向き合わなかった獣に、「力」では正面から向き合いました。「戦車」の獣は二項対立の形で描かれていましたが、その二項対立は「力」では脱構築され、自らの中の「恐れ」という形で一匹の獣になりました。しかし、獣を見つめているうちに、さらに、気がついてしまったのです。
「この獣は、どこから来たのか。言うまでもなく、『わたし』の中だ」
「力」では、女性と獣は独立していました。飼い主である「理性」が「本能」という獣と向き合うことによって、「本能」を手なづけることができることを表していました。さて、ではその「理性」と「本能」はどこから来るのでしょうか。「理性」と「本能」はどちらも、同じ一人の人間の中に宿っているものです。「本能」と「理性」が向き合い、観照を続けるうちに、そもそも、「理性」と「本能」という区別すら必要なくなってしまった。さらに脱構築が進んだ状態がこの隠者の姿なのです。
よく漫画などで、自分の頭の中で良心の天使と本能の悪魔が戦う描写がなされます。しかし、それは言うまでもなく、すべて「独り言」なのです。つまりは、自分自身を見つめて、語りかけることによって、理性も本能も超克することができる、その手前にいるのがこの隠者ということなのです。「戦車」「力」「隠者」と、書かれているモチーフが、3、2、1と減少してきています。バラバラになっていた自我を統一するためには、まず、一つとしての自我を認識することが必要であると、隠者のカードは告げています。

正位置の隠者「答えは、すべて君の中にある」

正位置では隠者の持つ「観照」「内省」というキーワードをポジティブに解釈します。
飼っていた一匹のスナネズミが大好きだったわたしは、スナネズミをモチーフにタロットカードを作りましたが、隠者の姿のスナネズミを描いた時に、レオ・レオニの「フレデリック」を思い出しました。「フレデリック」は「物語の誕生」神話のネズミ版で、同じく「物語の誕生」神話である中島敦の「狐憑」が悲しい結末を迎えるのに対して、餌を溜め込む代わりに、「物語」を溜め込んだフレデリックに対して、ネズミたちは「君ってすごいんだね!」と称賛します。フレデリックは、きょうだいネズミたちと共同生活を営んでいますが、餌では決して埋めることができない「内面の飢え」に対して、自己の内面に「物語」を溜め込むことによって、その飢えに対して内発的な答えを見出した、隠者的なネズミではないかと思います。
さて、隠者はなぜ、彼の足元を見つめているのでしょうか。隠者のカードをもう一度見直してみましょう。ウェイト版と、マルセイユ版の隠者のカードの一番大きな違いは、視線です。マルセイユ板の隠者は前を見ていました。したがって、彼のランタンは、彼の行く先を照らすためのものです。しかし、ウェイト版ではその視点は足元に落とされました。杖を片手に、ランタンで足元を照らしながら、下を見ている彼は、何か探し物をしているように見えます。彼は一体、暗闇の中で何を探しているのでしょうか。
ウェイトは、「隠者」の前に「力」を置き直しました。これについて、彼は「わたし自身が納得している理由のために」としか説明していません。「戦車」の鎧を脱ぎ捨てた「力」はなぜ「隠者」の前に来るのか。それは、彼女が「恐れ」を「飼いならす」客体として「操縦」する欲求を捨てられていないからではないかと思います。「戦車」「力」の共通点は、「獣」を意のままに動かそうとする「操縦」欲求があることです。「力」の女性は「戦車」の男性に比べて、ずいぶんと同調的で優しいですが、それでも、彼女は明確に「獣」の飼い主であることを自覚しています。しかし、ここに来て、ついに獣は姿を消してしまいました。では、獣は何処に行ったのでしょう?

「獣はここにいる。獣は、わたしでわたしは獣なのだ。」

獣は生きている限り決して消えることがありません。獣は生命力そのものだからです。しかし、その獣を自分ではない悪しきものとして認識しているうちは、自分自身に対する認識は不十分です。戦車のように獣を無視するのではも、力のように飼いならすのでもなく、ただ、完全に自分の中に取り込んだ姿。それが隠者です。ひょっとしたら、ローブの下は獣の姿をしているのかもしれません。隠者が探しているもの。それは、自分のすべて、つまり、世界のすべてなのです。

このカードからのアドバイス

一般的なアドバイス

周囲から少し距離を取り、本当の自分の気持ちに耳を傾ける時間をとりましょう。
あなたが、本当に「独り」の時間を最後に取れたのはいつですか?
「ぼっち飯」「クリぼっち」。私たちの周りには「孤独」であることを卑下する用語が、何の説明がなくても、「罵倒」の言葉として成立し、流布しています。通信技術が進歩した昨今、独りでいても、SNSなどでいつでも誰かと繋がれてしまうことができます。もはや、「孤独」は、意図的に作り出さねばならないものになってしまいました。
優れた考えや、アイデアは、「孤独」の時間が醸成します。歴史上の優れた発見も、偉人たちが独りで考え抜く時間を持ったからこそ、生まれました。(ニュートンや、アインシュタインなど、偉人たちにメモ魔が多いのも、彼らにそれだけ、独りで考え抜く時間があったことの表れです)
インターネットの検索も、蔵書をパラパラめくることも、友達と連絡をとることも今はやめて、自分の心に問いかけてみてください。独りで悩む贅沢を、今は堪能しましょう。

恋愛向けのアドバイス

静かに慣れる場所で、あなたの心にだけ、答えを訪ねてみてください。
今や、私たちは情報に押しつぶされそうになっています。恋愛のことでもそれは同じ。悩むことがあれば、その悩みのキーワードを検索窓に打ち込むだけで、世界中のメディアの中から解決方法を引きずり出すことができます。
また、LINEやその他SNSサービスを使うことで、24時間、いつでも、どこでも、友達と相談できるようになりました。
世界中の人たちとつながっているにもかかわらず、私たちはたった一人の「私」とつながる時間を失ってしまっています。
当たり前ですが、あなたのことを一番よく知っているのはあなたです。

今は、友達との連絡や、ネットや本の情報、相手への連絡や問い詰めをストップして、「あなた」との対話に集中しましょう。
間違えても、「自分との対話」をキーワードにネット検索なんてしないように。「うまく」やらなくてもいいのです。本当に独りに慣れる時間を取ってみましょう。

お仕事・転機に向けてのアドバイス

ノイズを遮断し、自分の思いに集中してください。
今や、ありとあらゆる方法で、いろいろな人の意見が聞けるようになりました。しかし、その結果、一番かけがえのない「あなた」の言葉に耳を傾ける時間はどんどん減少してしまっています。
難しいかもしれませんが、どこか、独りで落ち着けるところに行って、連絡やネットもしばらくストップして、自分の思いに問いかけることに集中しましょう。
具体的な行動や、リサーチはそれからで十分です。何者にも影響されないあなた自身の声をしっかりと受け止めましょう。

参考画像・文献

ウェイト版の図柄


By パメラ・コールマン・スミス Holly Voleyによる1909年版のスキャン画像。ファイルは http://www.sacred-texts.com/tarot/ より

マルセイユ版の図柄


By Jean Dodal (http://www.tarot-history.com/Jean-Dodal/) [Public domain], via Wikimedia Commons

参考文献

鴻上 尚史「孤独と不安のレッスン」

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ABOUTこの記事をかいた人

小学校の時にタロットに出会って以来、かれこれ20年以上タロットを取り扱っている。多くの人を占うだけではなく、自作のタロットを作るに至る。大学では分子生物学を専攻。趣味はイラストとゲーム作り。本業の傍ら、タロットを自由に楽しむ人が増えればいいなという思いからサイトを作る。