第30話:小アルカナを学ぼう その5 4のカード
- 各カードの4のカードの意味を理解しよう
30 4のカードを学ぼう

いつもキツそうなのってソードのイメージあるけど、4はなんか、カップとペンタクルが微妙っぽいね









なんか、それに近いのってせいぜいワンドとソードぐらいで他はあんまりそんなかんじしないよ?特にペンタクルめっちゃケチそうじゃん

僕は4のカードは各スートが安心・安全・安定を求めたときに何がおこるかを示してるんじゃないかなと思ってるよ


「自然」の中には一つの均衡を生み出す二つの力がある、そしてこれら三つものもは単一の法則にほかならない。これこそは統合の中に要約される三つ組であり、そして三つ組の概念に統合のそれを加えると、四つ組に、最初の完全な平方数、数字のあらゆる組み合わせの出発点、あらゆる形態の原理へ到達する。
人文書院 エリファル・レヴィ「高等魔術の教理と祭儀 ー教理篇」より


この続きももうちょっと引用するよ
肯定、否定、議論、解決、これらが人間精神の哲学的四作業のかたちである。議論は否定と肯定を違いにとって必要なものにすることによってこれら二つを和解させる。このように対立する二つ組から生み出される哲学の三つ組は、あらゆる真理の平方根である四つ組によって完成される。「神」のうちには、公認の教理に従えば、「三つの人格」があり、そしてこれら三つの人格は単一の「神」でしかない。三つと一とは四の概念を生み出す。なぜならこの三つを説明するには統合が必要であるからだ。
人文書院 エリファル・レヴィ「高等魔術の教理と祭儀 ー教理篇」より

三つのもので完全になるんだけど、それの三つまとめたものに名前をつけると、それらをまとめて表す言葉になるってこと?

神の霊でいうと、聖書を読むと「聖霊」「子(キリスト)」「父(キリストが「アッバ=父」と呼びかける存在)」の三つがあって、それらは一つですよーってことでまとめて三位一体っていうんだけど、じゃあその「聖霊」と「子」と「父」をまとめたものって要するになんなの?ってひとまとめにして名前をつけると「神」ってことになるんだよね。
平方数のたとえはちょっとわかりにくいから図形で考えると、3つの点がかたまったら三角形としての図形の形がかたまるんだけど、三角形っていうのは安定して、置くことができない図形的には安定していない形なんだ。


それに対して四角になると形として安定する。
漫画でも四角のコマが基本なのは、四角が図形的に安定してるからだとおもうよ。


だから、小アルカナの各スートの4っていうのは、各スートが安定したときに何がおこるのかが示されているんだよ
30-1 4のカードの概要
各スートの4はそれぞれのスートが安定したときにおこることをあらわします。
4のケセドに対してエリファス・レヴィは以下のように説明しています。
「自然」の中には一つの均衡を産み出す二つの力がある、そしてこれら三つのものは単一の法則にほかならない。これこそは統合の中に要約される三つ組であり、そして三つ組の概念に統合のそれを加えると、四つ組に、最初の完全な平方数、数字のあらゆる組み合わせの出発点、あらゆる形態の原理へ到達する。
人文書院 エリファス・レヴィ「高等魔術の教理と祭儀」ー教理篇ーより
3についての説明のところで、レヴィは
「完璧な言は、三つ組で成り立っている。聡明な原理、語りかける原理、そして語られる原理、この三つがそろってはじめて完璧な言葉となるからだ」とのべています。ここでのここでの三つ組は3のところで語られた
といえるでしょう。それに対してもう一つが加わることであらゆる形態の原理へ到達する、とはどういうことでしょうか?
レヴィは上記にさらに以下のように続けています。
「神」のうちには、公認の教理に従えば、「三つの人格」があり、そしてこれら三つの人格は単一の「神」でしかない。三と一とは四の概念を産み出す、なぜならこの三つを説明するには統合が必要であるからだ。
人文書院 エリファス・レヴィ「高等魔術の教理と祭儀」ー教理篇ーより
先ほどの聡明な原理、語りかける原理、語られる原理は、三位一体にも喩えられていました。
三位一体とはキリスト教での信仰対象についての説明のことで、キリスト教は一神教であるにもかかわらず、聖書の中に「聖霊」「父(=子であるキリストがアッバ(=父)と呼びかける存在」、「子(=キリスト)」という三つの崇拝すべき超越者が出てくることを「三位一体(=三つの超越者は三つセットで1つ)」という説明をつけました。
レヴィのあげた三つ組についても、
という三位一体に当てはめることができます。
そして、この三位一体の三つの存在は「神」という一つの言葉で集約できるのです。
完璧な言は三つ組で作用し、その三つ組の作用に統一した名前をつけることで固定されます。
このことから、各スートの4ではそのスートが安定・安全な状態となるためにおこることが示唆されています。
30-2 ワンドの4


ある映画のせいでちょっと不穏な空気に見えなくは無いけど

モチーフ的にはめちゃくちゃ似てるなって思うけど。






開拓者が次々と進んでいくために必要なものは、いろいろあるとおもうけど、僕はその中でも「ホーム」の存在はかかせないとおもうんだよね




「塔」の絵と比較してみましょう。大アルカナに描かれたふたりの人物は、「ワンドの4」に描かれたふたりと非常によく似た格好をしています(どちらも青いローブと赤いローブを着ています)。秘教的な意味から離れて言うなら、「塔」はもうこれ以上耐えられないというレベルまでに蓄積された抑圧的で悲惨な状況を、人々がみぬふりで許してしまった結果としておこる崩壊を示します。一方、「ワンドの4」では、前面を壁で囲われ「塔」のような牢獄と化した街から、楽観と自由な愛が人々をいっせいに連れ出しているのです
フォーテュナ レイチェル・ポラック「タロットの書 叡智の78の段階」より





これをさらに拡大解釈すると、実は塔のカードは抑圧した火のエネルギーで内部崩壊しているようにも見えるんだよ


基本的な解釈
4本のワンドでできたゲートの奥に歓待している人が見えます。安定安全を示す4のカードにおいて、この絵は何をあらわすのでしょう?
アーサー・ウェイトはこの絵の正位置の解説に対して、
ひと目でわかるように、田園生活。避難所。くつろげる家庭。休息。一致。調和。繁栄
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト「タロット公式テキストブック」
と解説をつけています。
無限の拡大を意図するホームが安心して活動を続けられるのは精神的なよりどころであるホームがあるからです。
2のような「囲い」は窮屈にワンドをとじこめてしまい、「退屈」を生みますが、開け放れたゲートである4は、戻りたくなったら戻ってきて、そしてまた自由にでていくことを許されている、ワンドを抑圧しない「安定のよりどころ」です。
社会でも大きな業績を安定して上げていく組織は「心理的安心感」が大切だといわれるようになってきました。また、征服者にとってもどるべき領地があり、そこで反乱をおこされないことはとても大切なことです。歴史的に成功している征服者の多くが領地にもどれば理想的な為政者であったこともそれを証明しています。
ワンドの4は心理的安心感や次への活力の源となる安定した環境を示唆しています。
正位置
正位置では、ワンドの4の安心感があること、心理的なよりどころがあることが中庸にはたらいていると解釈します。
人間関係の問題であっても、ビジネスの問題であっても、心理的な安心感が高いことは成功にとって不可欠無条件です。このカードがでてきたときには、仕事の内容や人間関係のかけひきのテクニックよりも、まずはあなた自身が安心した環境に身を置く必要があることや、心理的安心感がえられる環境の恩恵をうけられることを示唆します。矛盾するようですが、成長や変化のためには背後の「安心・安定」が大切になってきます。
ワンドの4は当たり前のようになっている今まわりにある環境こそがあなたを支えてくれていることを教えてくれています。
逆位置
アーサー・ウェイトはこのカードに対して「逆位置でも基本的な意味はかわらない」とのべています。それほど心理的安心感というのは様々なものの基盤になっているのではないかとおもわれます。塔のカードと同じように、逆位置の場合には正位置の意味が弱まると考えるのがいいでしょう。安心感は得られますが、部分的に不満が残る分野があったり、安定を保つ力が少し弱い可能性が指摘されます。
30-3 カップの4


ただ、なんかこの人不満そうだよね

不快。嫌悪。倦怠。悩みの種。まるでこの世のワインというワインが飽食しかもたらさないかのようである。もう一つのワインは、まるで妖精の贈り物のように、この浪費家に差し出されている。だが彼はその中身にも満足しない。これはまた混ぜ合わされた快楽のカードでもある。
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト 「タロット公式テキストブック」より



なんかこれまでカップって幸せそうなやつがおおかったのに、そのカップに「安全」なんて加わったら最強なんじゃないの?

行き過ぎは、よくないんだよ。




その例えめちゃくちゃいいんだけど、多分わかる人すごい少ないから

すごいいいこと行ったと思ったのに

このカードが示しているのは、受け取ることが安定してしまって、ありがたみを忘れてしまうと、どんなものを受け取っても不満になっちゃうことを示してるんだよ。
つまり、受け取る「内容」じゃなくて受け取り側の受け取り方が大切だって話になるとおもうんだよね
基本的な解釈
木の下に不満げな若者が座っています。このカードに対してウェイトは
不快。嫌悪。倦怠。悩みの種。まるでこの世のワインというワインが飽食しかもたらさないかのようである。もう一つのワインは、まるで妖精の贈り物のように、この浪費家に差し出されている。だが彼はその中身にも満足しない。これはまた混ぜ合わされた快楽のカードでもある。
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト 「タロット公式テキストブック」より
とかいていることから、カップに満たされるのはワイン=喜び、享楽であり、彼はそれを十分に受け止める状況にありながらも満足していないとが示唆されています。
各スートの4はそのスートに安心、安全がもたらされた時になにがおこるかを示唆しています。受容性を示すカップは、それが安心・安全(=当たり前)になってしまうとその恩恵を感じることができなくなってしまうことが示唆されています。
例えば我々は些細なことで「もうおしまいだ」「ダメだ」と感じてしまいますが、よくよく考えてみたら、今ここに私たちが生きているということは体の中の様々な器官が生まれてからこの瞬間まで動き続けている「恩恵」ですし、太陽がもうちょっとでも地球から遠ざかったり近寄ったりするだけで地球は生き物が住めない環境になります。そのような私たちが「当たり前」だとおもっている恩恵は失ったときに初めて気が付くものもとても多いのです。
このカードは受け取りが当たり前になり、その喜びや感謝を感じられなくなってしまった状態をあらわしています
正位置
正位置ではこのカードがもつ、倦怠や不快感をそのまま解釈します。人間関係でも仕事であっても、今置かれている状況に不満があり、物足りなさを感じています。しかもその不満や物足りなさは周囲や自分で理由を特定することが難しく、「ぼんやりとした不快」や「ぼんやりとした不満」です。今現在、不満の理由となるものが明らかだと感じていたとしても、根本的な原因は受け取る側の心にある問題なので、今原因だと思っていることが解決しても、やはり同じ不満にもどってきてしまうでしょう。
このカードは今変更が必要なのは状況ではなく心のもちようであることも示唆しています。
逆位置
逆位置では、このカードがもつ倦怠や不快感から解放されると考えます。
逆位置の解釈が、正位置の概念が過剰や不足ではたらくことを示唆することが多いですが、このカードはそもそも「受け取りの過剰」に端緒があるので、逆位置では不足側のみの解釈、つまり、倦怠や不快感から解放されると捉えるのがいいのではないかと思います。倦怠から解放され、新しいことに挑戦する意欲や熱意、チャンスにめぐまれることを暗示しています。
30-4 ソードの4



ウェイトはこのカードに以下のような説明をつけてる
祈りの姿勢をした騎士の象が、墓の上に据えられている
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト「タロット公式テキストブック」より

各スートの4ってそのスートが安全、安心を求めた結果だよね?



まあそこまで極端ではないんだけど、叡智でもって闘争に勝利していくソードにとって、安心・安全っていうのはこう言う形でしかもたらされないことを示唆しているとは思うよ。

何がかいてあるの?

このカードは休戦を表してる絵でもあるとおもうんだ。
ソードは原理的に勝者と敗者を産んでしまうソートなんだ。だからそんなソートが安定するためには戦いそのものを一時的に放棄するしかないんだよ
基本的な解釈
壁に剣がたてかけてあり、手前に手を合わせた騎士が横たわっています。アーサー・ウェイトはこのカードに対して
祈りの姿勢をした騎士の象が、墓の上に据えられている
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト「タロット公式テキストブック」より
という説明を加えており、また、正位置の意味にも「墓。棺桶」という意味を加えています。
奥のステンドグラスには病を癒すキリストが描かれており、このカードが休止と癒しのカードであることがわかります。
安定を示す4において、闘争のスートであるソードが安定するには「休戦」しかありません。このカードが寓意するのは一時的な停止、休戦、状況から身を離すことを示唆しています。
正位置
正位置では、このカードが示す休戦、撤退が中庸にはたらいていると考えます。
平たく言うなら「一回休み」と言う感じです。今は問題にそのまま立ち向かっていくよりも、少しおやすみをして距離を置く必要があることが示唆されています。
大アルカナの死神が「終了」を意味するのに対して、このカードはあくまで「一時休止」です。自分以外のことを占った場合には、状況がしばらくの間停滞することも示唆しています。
逆位置
逆位置では、休戦、撤退が過剰や不足ではたらいていると考えます。
過剰の場合には、意味のない停止、意味のない様子見、変化をおそれて何も動けなくなってしまっていることへの警告となります。
不足の場合には、硬直していた状況が動き出すことが示唆されています。また、自力で現在の状況を打破して変えていけることも示唆されています。
30-5 ペンタクルの4


地味にここまで悪意剥き出しでこっちみてるカードって他あんまりないよね



富が安定した大企業と、できたばっかりのベンチャー企業、どっちが動きがはやそう?


できたばっかりのときはイノベーションをバンバンおこせてた企業が大きくなるにつれて動きがにぶくなっちゃうのはよくある話だとおもうんだ。そんなかんじで、ペンタクルの収穫は「変化し続けること」が大切だから、「安定」に走ると、今もっているものを手放そうとしない吝嗇な面が出てきちゃうんだよ。


財産をあらわすペンタクルが「安定」に走ると、こういう守銭奴的な振る舞いだったり、所有物をにぎりしめる振る舞いになることが示唆されてるんだよ
基本的な解釈
城を背後に、王冠をかぶった人物が4枚のペンタクルを見せ付けるように、守るようににぎりしめています。
ウェイトはこのカードに対して
彼は自らの所有するものを手放そうとしない
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト「タロット公式テキストブック」
と説明しています。
各スートの4は各スートが安定・安全に働いた場合何がおこるかを示唆しています。財産の安定をはかるためには、その財産をまもらなければいけません。彼はペンタクルを心臓の前、胸の位置にもしっかりともっています。財産をあらわすペンタクルが安心、安全にはたらくと、自らの命や財産を握り締め、守ることに執心することがここでは描かれています。
正位置
正位置では所有、執着というこのカードのもつ意味が中庸にはたらくことを示唆します。自ら所有するもの、今あるものを頑なにまもり、手放そうとしないことを表します。カードそのものは険しいですが、必ずしも悪い状況を示唆するわけではありません。意味するところは、「今もっているものをしっかりとにぎりしめる」ということだけです。状況によって、今もっているものが保証されるという好意的解釈にもなれば、今のものに執着しすぎて新たなものに手を伸ばすことができないという警告的な解釈にもなり得るカードです。
逆位置
逆位置では所有、執着が過剰や不足にはたらくことが示唆されます。
過剰の場合は、今あるものへの執着が状況の変化を遅らせること、全体を見渡す能力を奪ってしまっていることを示唆します。
不足の場合は、こだわりがあったものへの執着が薄れ、次へと進んでいくことができるようになることが示唆されます。
また、手に入れたいものや、今持っているものに対して何らかの妨害が入ることを示唆する場合もあります
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