ワンドの2
基本的な解釈
立派な衣服をきた男性が塀の中から世界を見渡しています。
彼の手には地球儀が握られていて、「これから世界を征服するぞ!」と思っているようにもみえます。
ところが、アーサー・ウェイトはこのカードの正位置にこのような注釈をつけています。
壮大なる世の富に囲まれたアレクサンダー大王の病い、苦行、苦しみを象徴しているかのようだ。
魔女の家BOOKS アーサー・E・ウェイト「タロット公式テキストブック」
アレクサンダー大王は世界征服という道半ばで若くして病いでなくなります。
ただここでウェイトが言いたいのは少し違うことであるようです。
各スートの2は各スートが調和的にはたらいたときに何がおこるかを示唆しています。そして調和とは、「範囲」を決めてその中でバランスを取る行為です。
無限の拡大・エネルギーの発散を象徴するワンドにとって、調和とは、「足枷」であり「制限」なのです。
アレクサンダー大王は道半ばで倒れましたが、おそらく「征服者」と呼ばれた人々は「領土の拡大」が好きなのであり、それを維持・調和することにはあまり興味がないのではないでしょうか?
夢は無限でも、世界や資源は有限なのです。資源を食い散らかして次へとすすんでいく「カウボーイ型」の生活から限られたリソースの中で循環型社会を生きる「宇宙船型」の生活へ、というのが環境問題のスローガンだった時期がありますが、ワンドのパワーが欲しいのは「無限の荒野」をどこまでもつきすすんでいく「カウボーイ」であって、その拡大の限界が見えてしまうことは退屈で悲しいものなのです。
正位置
正位置ではエネルギー・活動といったワンドのテーマが調和的にはたらいたときにおこることを表します。
無限の拡大をめざすワンドにとって、調和とは「予定調和」をさします。彼は十分に成功しており、周囲は彼を賞賛しているでしょう。また、しかし無限の冒険を求める彼にとってこの状況は少し退屈で、そしてなにより孤独であるようです。
ワンドの2は成功はしているものの、物足りなさを感じていること、次に進む一歩が見つからないこと、一定の成果はあげているものの精神的には理由のない不充足があることを示唆しています。
逆位置
逆位置では正位置のワンドの2が感じていた「予定調和」がうちやぶられることを示唆します。
ウェイトはこの逆位置のカードに対して「驚異、魅力、情動、トラブル、恐れ」と表現しています。良くも悪くも「退屈」がうちやぶられ、「変化」がもたらされるのです。
調和を打ち破り、新しいことに挑戦することを示唆していますが、その挑戦は「自分から選んだ」挑戦というよりは予期しないことや衝動で新しい状況に飛び込んでいくことを示唆しているようです。
外からの大きな力、あるいは自分の中の言葉にできない衝動によってつきうごかされ、新たな状況に飛び込んでいくことを逆位置のワンドの2は示唆しています。
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