カップのキング
海の真っ只中に、一人の男性が座っています。男性は立派なカップと笏をもっており、身につけているものにも魚や海のモチーフがあふれています。
ウェイトはこのカードにこのような説明を加えています。
左手に短い笏を、右手に立派なカップをもった王。彼の王座は海上に据えられ、その左右には船ととびはねるイルカがみえる。カップのサインは水のエレメントと関連するが、各サインに関連するエレメントはコート・カードに典型的に表現されている。
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト「タロット公式テキストブック」より
彼は水のエレメントの王であることがここで描かれています。
では彼はどのような性質をもった人物なのでしょうか?ウェイトはこのカードの正位置にこのような説明を加えています。
公正な男性。ビジネスマン。法律家。宗教家。責任。質問者を世話しようと思っている人物。芸術。科学。法律。あるいはそうしたものを教える人。創造的知性。
魔女の家BOOKS アーサー・ウェイト「タロット公式テキストブック」より
ここで描かれていることは多岐にわたっており、また、実際の占いでは必ずしもコートカードが人物をあらわす位置に出るとは限らず、この説明だけではどのように読むのか悩ましいのではないでしょうか。
ここでのポイントは、ここで描かれている仕事の共通点を考えることです。
法律家、宗教家、科学おおよそ相反する分野も含めて様々なものが挙げられていますが、これらに共通する点は「形のないもの」「人間の頭の中にあるもの」を「実際の形のある世界」の中でとりあつかっていくものであるということです。
この中には職人、農業従事者、工作人など「形のある物を作り上げることが主業務」の職業はとりあげられていません。
また、ウェイトはこの説明の最後を「創造的知性」という言葉で締め括っています。このことから、カップのキングが人々の頭の中にあるものを知性でもって形にしていく性質をもった人物であることが伺えます。
このカードは知性で自らの考えたことやインスピレーションを形にしていくことを示唆しています。
正位置
創造性や知性を表すカードです。このカードがでてきたときには、あなたが知性をもって自分の考えを形にしていくことが求められています。少し魔術師のカードにも似ていますが、魔術師が物事のスタートも寓意したのに対して、カップのキングはどちらかというと完成にむけてのフェーズです。
あなたが望んでいることを形にするためには、熱意や根性が必要なのではなく、むしろあなたの自由な創造力をもっと働かせて、そしてそれが実現可能な形で実行していくことが大切だといわれています。
人間関係の問題の場合であっても、あなたの知性や創造力が状況を好転していくことを示唆しています。
逆位置
逆位置の場合は、正位置で描かれていたものが過剰や不足ではたらいていると考えます。
不足の場合には創造力の欠如や考えていることを形にしていく能力が不足していることが示唆されます。
過剰の場合には「知性」があやまった運用をされており、カップの寓意している「愛情」「理性」からかけ離れた運用がされてしまっていることが示唆されています。
知性というのは素晴らしいものですが、その使い方に「愛」がなければ「利益がでたらなんでもいい」というような利己的な考えになってしまいます。
知性の使い方が利己的になってしまっていないか、そんなことへの警告がなされています。
インデックスに戻る