第23話:タロットカードの意味をしろう! 19 太陽
- 太陽のカードの構図、モチーフを理解しよう
- 鑑定で太陽が出てきたときの意味をしろう!
23-1 太陽ってどんなカード?


太陽はマルセイユ版から大きく構図が変わったカードの1つだよ。ちょっとまずはカードを見てみよう




ウェイトがこういう風にカードを改める前にエリファス・レヴィが
「この子供に変わるシンボルは運命の車を回す紡ぎ手、もしくは白い馬にまたがって赤い旗を翻す裸の子供である」って述べたってウェイトは主張してるね


タロットをオカルティズムに導いた人の一人だよ。
タロットをカバラとかと本格的に結びつけたのも彼だ


まあ、タロット成立の重要人物だって考えてればいいよ
ひととおり、タロットの説明が終わった後でタロットの歴史についても説明するね
まあ、何はともあれ、ウェイトはレヴィが提案したモチーフの一つ、白い馬にのった子供の図象を採用したわけだけど
この子どもについてウェイトは
「肉体を持つ生命という束縛から逃れて故郷へ帰ろうとする人類の永遠の進歩を先導する神聖にして偉大なる光である」って述べてる
だからこのカードの太陽っていうのは必ずしも天体としての太陽を象徴してなくて
全方位に、この「永遠の進歩」を象徴する子供から放射される光だって解釈できる
まあ、なんというか啓蒙思想的だよねえ

このカードは進歩や前進を全肯定してるんだね
あと、マルセイユ版はだだっぴろいところに太陽がでてるけど
ウェイト版では背中に壁があってひまわりがさいてるんだね

ウェイト版の子供は壁を背にしてる。そして背中がまったくみえてない
あとは、前髪が随分特徴的なんだよね


ホップときどき、スナネズミばなれしたこと言ってくるよね
確かにまあ、その人にも似てるんだけど
他のカードと比べてもわざわざ前髪がこの赤ちゃんは特徴的に描かれている。
そして、背中がぴったりと壁で覆われてしまっていて、ウェイトの言葉を文字通り信じるなら
彼は成長と発展の申し子だ
ここまでキーワードが揃ったらもうこれは、カイロスを寓意してるとしか僕は思えない


僕が言いたいのは、ギリシャ神話に出てくるチャンスの神、カイロスさ。


でもさ、ホップ、「チャンスの神様は前髪しかない」って聞いたことない?

チャンスだと思ったらすぐ掴まないと逃げちゃうよみたいなやつでしょ?

そのチャンスの神様がカイロスなんだよ
カイロスは前髪しかない美少年の神様なんだ




それに対して、カイロスの時間は一瞬の閃きのような決定的な時間を指すんだ


そういう時計には残らないような一瞬の、物事が決する、瞬きもできない決定的な時間をカイロスの時間って呼んだんだよ
そしてその決定的なチャンスの神であるカイロスには前髪しかなくて、後ろは禿頭になってる
僕はこの進歩の申し子である太陽の子供は、そのカイロスを意識して書かれてると思うんだ

確かに、どんどん進んでるときって、あんまり何も考えないでその瞬間瞬間を生きてるときだもんね

ウェイトはこのカードが「単純さ」と「英知としての純粋さ」を表すものだって述べてる。
「単純さによって彼は自然と技術の双方を手中におさめる」ものだとしてる。
太陽の光のようにまっすぐ進んでいくときには、我欲や変な計算は働いてなくて
ただ前を進んでる。
そこだけだったら愚者にも似てるんだけど、どこにいくかわからない愚者とちがって
光が直進するように、この子は単純に光の差す方、進歩の未来へと進んでいくんだよ


この先に残すカードは審判と世界だけだ。
そして、この2枚はめちゃくちゃ決定的で強力なカードだ。
紆余曲折あったタロットの旅もついに、このカードを経て最後の完成のステージへと向かっていくんだよ
23-1 太陽ってどんなカード?
23-1−1 カードの説明
燦々と光り輝く太陽の下に、幼い子供がいます。マルセイユ版では子供は2人でしたが、ウェイト版では子供は1人に改められ、旗を持って馬にまたがるようになりました。悪魔・塔・星・月と、マルセイユ版とウェイト版でほとんど構図に変更が見られないカードが続いたのに対して、この太陽では大幅に構図が改められています。
単純な成功や繁栄という意味であれば、元のマルセイユ板でも意味は十分に伝わりそうです。なぜ、アーサー・ウェイトはわざわざ、子供を1人して、馬に乗らせたのでしょうか?
大アルカナを眺めると、アーサー・ウェイトがマルセイユ版を改めて、「わざわざ」馬に乗らせたカードがもう1枚あります。それは「死神」です。マルセイユ版では徒士であった死神が、ウェイト版ではわざわざ鎧まで着せられて、立派な馬に騎乗しています。実は、「旗」を持って「馬」に乗っているカードは、ウェイト版大アルカナでは死神と太陽の2枚だけなのです。
「星」に希望を照らされ、「月」の苦難を乗り越えた先にある「太陽」は成功や繁栄をあらわします。希望を目指して、幾多の裏切りや足止めを乗り越えて、辿り着いた繁栄!それは多くの人の目指すものかもしれません。
しかし、ウェイトはこのカードをわざわざ、「死神」と同じ馬に乗せました。そして、このカードは19番目。まだ「途中」のカードなのです。
ウェイト版の「死神」をもう一度見てみましょう。「死神」に対して、人々はいろいろな対応をとります。権威(=皇帝)は力尽きて地に伏し、愛(=女帝)も死に直面すれば意識を失います。宗教(=法王)は死と向き合うことができますが、死に無邪気に手を伸ばすことができるのは、子供だけです。
「太陽」ではひまわりが咲き乱れており、子供の髪もひまわりのような形にカールしています。そう。「死神」と「太陽」は同じモチーフが執拗に、しかし、変奏として(「死神」では子供も馬も花も横を向き、「太陽」では子供も馬も花前を向いている。「死神」では馬も子供もきちんと服を着ているが、「太陽」では馬も子供も裸になっている。)現れてきます。
さらに、「太陽」は「復活」を表す「審判」の前にあります。
ウェイト版ではかなり意図的に、「死神」と「太陽」の関連が描かれているような気がするのです。
「太陽」の子供は手を大きく開いています。右手を下にさげて、左手を上に上げるポーズは、これまでの魔術師や悪魔や正義とは逆のポーズになります。つまり、「太陽」はこれまでのゴールであり、そして完成の「始まり」なのです。
23-1-2 正位置での解釈
前進・成長・発展の時です!
「太陽」の子供はひまわりの咲いた塀を背に、馬に乗っています。にこやかに微笑む彼には「後ろ」がないのです。運命の輪のところでもお話ししましたが、チャンスの神、カイロスには前髪しかありません。「太陽」の子供の強調されたひまわりのような前髪は、カイロスの前髪にも見えます。「太陽」の絵は成功や繁栄を表しますが、同時にその成功や繁栄に執着しないことも示唆しています。成功は、それまでのゴールであると同時に、それからのスタートです。
もう何も恐れることはありません。無邪気な子供のように、今日あなたの上に降り注ぐ太陽の光を楽しみ、あなたの目的に向かってまっすぐ進んでいってください。
23-1-3 逆位置での解釈
右肩上がりの成長だけを期待しすぎないようにしましょう
PDCAサイクルを持ち出すまでもありませんが、私たちは、しばしばいろいろなものの「結果」から、現状を判断します。学生の頃は、模試の結果に一喜一憂し、大人になれば、会社の事、家族の事で小さな変化で一喜一憂します。
365日、晴れの日が続くことがないように、すべての状況が常に成長一辺倒ということはありません。失敗することもあれば、結果が伴わないこともあります。
しかし、今回結果が伴わなかったからといって、「全部ダメ!」なんてことはありません。
曇りの日だって、雨の日だって、太陽はそこにあるのです。たまたま、今は見えていないだけです。
雨が降るのは避けられませんが、「雨の日」を呪い、天に唾を吐いて過ごすか、おとなしくその雨が過ぎ去るのを待つかは、あなたが選ぶことができます。私たちは常に結果を白黒どちらかに分けてしまいがちですが、完全な成功も完全な失敗もありえません。夜明け前が一番暗い、とも言います。逆位置の太陽は、停滞している時こそ、自分を信じて雲の向こうの太陽を信じることの大切さを教えてくれています。
23-2 占いで太陽が出てきたとき受け取れるメッセージ
23-2-1 一般的なメッセージ
正位置
迷わずに、あなたの目的に向かって進みましょう!
このカードを引いたあなたには、あらゆる心配や、謀略の類は不要です。「太陽」のカードで裸馬に子供が易々と跨っているのは、子供が恐れを一切抱いていないからです。うまくいくか、今が時期か、世間のトレンドはどうか、そういった判断の一切を手放して、ただただ無邪気に前に向かって進んでいきましょう!
あなたに必要なのは、ただただ、信じて身を委ねるだけ。そうすれば、運命の白馬があなたを成功へと導いてくれるでしょう。
逆位置
停滞や退屈で自棄を起こさないようにしましょう。
物事は順調に進むことばかりではありません。成功が続かなかったり、挫折してしまったり、失敗することもあるでしょう。
しかし、失敗は「なにもやらないこと」だけであり、うまくいかなかった時は、「失敗」という体験を手に入れることができたのです。雨の日や、曇りの日だって、太陽は昇ってきています。今が真っ暗闇の夜でも、必ず太陽は巡ってきます。
順調な時は、誰だって前向きになれます。停滞や退屈な時にこそ、自分が意図的に前を向くトレーニングをすることができます。
停滞や退屈で自棄を起こさず、いつ太陽が巡ってきてもいいように、気持ちを前向きにしていきましょう。
23-2-2 恋愛でのメッセージ
正位置
二人の時間を楽しみましょう!
太陽の子供には「後ろ」がありません。あなたと相手にはこれまで色々なことがあったのかもしれません。また、あなた自身もこれまで歩んできた人生のなかでたくさん考え、悩み、身につけてきたことがあるでしょう。
しかし、太陽の少年は、ただ、無邪気に前に進むことをあなたに求めています。
この広い世界で、あなたがあなたの好きな人に出会えたことだけで、あなたはもう、宇宙一の幸せ者なのです。これからの関係がどうなるか、相手がどう思っているか、そんなことは一端棚に上げて、状況を愛して、信じて進んでいきましょう!
陽気に踏み出した一歩は、あなたをもっと明るい未来に連れて行ってくれるはずです。
逆位置
順調ではない「時間」、一人の「時間」も慈しみましょう。
楽しい時間を過ごしている時は、誰だって理想的な恋人として振る舞うことができます。しかし、あなたの「愛する力」や「魅力」が磨かれるのは順調ではない時は、あなたが一人でいる時です。
楽しい時に幸せを感じるのは単なる気分ですが、順調ではない時に幸せを感じることができるのは、あなたの「意志」であり「選択」であり「強さ」であり「信念」です。会えない時間が育てるあなたの「強さ」を育みましょう。こうして育まれた「強さ」はあなたの恋愛を、人生をもっと素敵な物に変えてくれるはずです。
23-2-3 仕事でのメッセージ
正位置
「あなたのやりたいこと」を実行しましょう!
「太陽」のカードで、子供は自分より体の大きな白馬に跨りながら、その白馬をコントロールする意思を一切表現していません。彼はただ、馬に裸の自分を預け、高々と旗を掲げています。
あなたに今必要なのは、あなたの望みに素直になり、ただただ、実行することです。
あなたが前に進む意思さえ自分のなかで固めれば、あとは運命の白馬はあなたを成功に導いてくれます。
大切なのは、あなたがあなたの運命と今この瞬間を信じて委ねることだけです。
さあ、あなたのやりたいことを、ただただ、実行に移しましょう!
逆位置
自己研鑽に努めましょう。
物事には収穫の時期もあれば、じっと育つのを待つ時期もあります。逆位置の太陽を引いたあなたの現状は、パッとしないものかもしれませんが、じっと育てる時期があるからこそ、あふれんばかりの収穫を迎えらえるものです。すぐに結果はでないとしても、本当に自分の力が身につくことに、今はあなたの時間を費やしましょう。
「本当に芽が出るのかな?」と疑って、土を掘り返してしまうと、種は決して芽を出しませんが、土のなかの種を信じて、水をまき続ければ、その種からは芽が生えて、100倍、200倍にも実を結ぶでしょう。今は自分の可能性を信じて、自己研鑽に努めましょう。
前のお話
カードも残りあとちょっとだね!