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むぎのタロット講座 第17話 タロットの意味をしろう! 13死神

第17話:タロットカードの意味をしろう! 13 死神

このお話で学べること

  • 死神のカードの構図、モチーフを理解しよう
  • 鑑定で死神が出てきたときの意味をしろう!

17-1 死神ってどんなカード?

ホップ
怖そうなカードがきたねえ。
ど直線に死神だもんねえ
むぎ
そうだねえ。番号も13番だし、初見だとこのカードを怖いっていう人も結構いるみたいだね
ただ、そう、悪かったり怖かったりするカードでもないんだよ
ウェイト版死神
マルセイユ版死神
ホップ
やっぱりどっちも怖いよー…
だけど、ウェイト版とマルセイユ版で全然絵が違うんだね
むぎ
そうだね。
ここまで大きく絵柄が変わってるカードは少ないねえ。
マルセイユ版は鎌をもった骸骨、すごくわかりやすい死のイメージなんだけど
(っていいながらこのカードには名前が書かれていないので、ひょっとしたら死ですらないかもしれないけどね)
ウェイト版は他のカードとくらべてもやたら写実的に書かれてる上に、
マルセイユ版にはなかったモチーフがいっぱいでてくる
ホップ
マルセイユ版の骸骨は裸だけど、
ウェイト版の死神は鎧をきてるんだね
むぎ
これはヨハネ黙示録に出てくる死の天使を描いてるともいわれてるねえ
どのみち、この死神は何かのメッセンジャーであり、背景に日が昇っているところをみると
単なる「死」だけではなくて、ヨハネ黙示録がそうであるように、
「死」の裏にある「再生」「永遠の命」も同時に暗示してると思うよ
ホップ
なるほどねえ。
「自己に死ぬことによって永遠の生命を」なんだねえ
あと、今まででてきたキャラクターめいたものが足元にいっぱい死んでるよね
むぎ
良いとこに気づいたね
足元には皇帝が横たわっていて
乙女は気を失っていて
聖職者はひざまづき、
子供だけが花を手渡している
ホップ
死は、全ての人に公平だから王様でもお姫様でも区別しないってこと?
むぎ
そうだね!その側面もすごく大きい
僕は、これまでタロットで取り扱ってきたものが「死」に対してもつことができる姿勢を表してるように見えるよ
権威・社会は死に対しては全くの無力で
女帝の生産は生と死の循環を生み出すことはできても、
彼女の生産したものはやがて死を迎えることは免れない。
信仰とは、生きたまま死と向き合うこと、意識することを求めるもので
ここまで出てきたものであれば、ただ愚者だけが、
他のものとかわらず死に花束をさしだすことができる
まあ、この絵には元ネタがあるらしいから
僕の解釈は深読みしすぎだと思うけどね
なんにせよ、このカードが表しているのは、
単なる死だけではなく、死から得られる再生・救済も包括してると思うよ

17-1 死神ってどんなカード?


キーワード
終焉・再生

17-1−1 カードの説明

ぎょっとするカードの1枚です。死を強く暗示する骸骨が描かれています。マルセイユ版とウェイト版では大きく絵柄が変わっています。
マルセイユ板では、「死神」は死体累々の上で鎌を振るう「刈り取る者」として描かれていますが、ウェイト版の「死神」には、「向き合う者」です。
よく見ると、このカードには、他のカードで登場する者がたくさん出てきます。
足元に王冠と笏を手放してしまった「皇帝」が横たわっており、「力」や「女帝」のような柔らかい衣装をまとった女性は気を失ったように崩れ込んでいます。「法王」と子供だけが、死に向き合い、そして、尊いものに接したかのように手を合わせています。そして彼の背後には船と、「女教皇」のような止まった水、「女帝」の背景に会った流れる水、そしてこれから現れる「月」で描かれている2つの塔と「太陽」が描かれています。
このカードはその見た目、名前から「不吉」なカードとして捉えられることが多いですが、単なる「不吉」を表したいのであれば、これほど多くのモチーフを画面の中に描きこむ必要があったでしょうか?
私事ですが、私は20代の終わりに、癌を患い、「五年生存率」という数字に直面しました。
結果として、私の病は癒え(再発していないかの定期検査は続けていますが)、病気前と変わらぬ生活を享受することができていますが、それまで、「死にたい」と思うことがあったにもかかわらず、その病気に直面するまで、私は「私の死」と向き合うことはありませんでした。
このカードでは、赤目の白馬や、鎧や、掲げた旗や紋章など、死神に纏わるものが、どの大アルカナよりも「現実的」に「リアル」に描かれています。馬一つとってもみても、「愚者」の犬、「戦車」を引くスフィンクスや、「力」のライオン、「太陽」の馬、など、他のカードで描かれているどの動物よりも写実的で、リアルに描かれており、(そもそも、このカードの馬以外に、目の色がはっきりわかる描写をされている動物の絵はありません)「死神」の着ている写実的な鎧に比べると、「戦車」の鎧はまるで玩具のようにリアリティに欠けます。

これほどまでに、「死神」がリアルに描かれているのは、(絵の中のモチーフが多く、死神を浮かび上がらせる必要があると言った技術的な問題もあるでしょうが)普段、意識していないにもかかわらず、必ず、彼が私たちに訪れるものであり、そして、絶対的なものであることを暗示しているのではないでしょうか。

「死」に際して、地上での権力・規範は全くの無力です。どれほどの権力者でも死からは逃れることができず、いかなる社会的な責任があったとしても、それは死のタイミングを選ぶ権利にはなりえません(横たわる皇帝)。
「命」とは、「死」と再生の連続であり、波打ち際の砂の城のように、一つの個体の中でも、毎日多くの細胞が死に(ヒトの場合、数にして毎日10%以上の細胞が死んでいると言われています)、その代わりに、新しい命や細胞が補われます。しかし、生が途絶えたとしても、死は絶対に訪れます(死神の前で気を失う女帝)。
自分に絶対に訪れる「死」を受け入れ、「与えられたもの」としての命に感謝することで、ようやく、人は死と正面から向き合うことができ(死の前で手を合わせて膝まづく法王)、
今という瞬間を無邪気に愛するものだけが、「死」すらも祝福することができます(死神に花を捧げる「愚者」と同じような服を着た子供)。

このカードは直接的には「命」の終わりを描いていますが、すべてのものには必ずいつか「終わり」が訪れます。
権力や成果にしがみつき、ともに滅びること、「死」に抗って生産し続けること、「死」に完全降伏すること、「死」すらも祝福すべき今として受け入れること。様々な姿勢をこのカードは見せてくれています。

繰り返しますが、もしもアーサー・ウェイトがこのカードを単なる不吉な「死」と捉えていたのであれば、小アルカナの剣の10のようなシンプルで判りやすい図柄にしたはずです。武器も持たず、ただ、旗を掲げる気高く、穏やかな「死神」は、絶対に訪れる終焉にたいして、あなたがどういった態度をとるのか、問いかけているのではないでしょうか。

17-1-2 正位置での解釈

マザー・テレサの「死を待つ人々の家」は、貧しい人々が「尊厳」を取り戻し、「大切にされた」「生まれてきてよかった」ということを感じながら死を迎えるための施設です。『最高の人生の始め方』という、余命幾ばくもなくなった人がこれまでにやれなかったことを心の底から楽しむ映画が共感されたのは、誰しも、「ああ、生きててよかった。楽しかった!」と思って死にたいという願いがあるからではないでしょうか。
すべてのものに必ず「終わり」は訪れます。夏休みの終わり、卒業式、大切な人との「死別」、恋の終わりetc…あなたも、これまでたくさんの「終わり」を通過してきたはずです。
カードの説明にも述べた通り、「死神」のカードは、大アルカナの要素が全部入り込んでるんじゃないかというぐらい、細々としたモチーフがたくさん描かれています。そのたくさんのモチーフが並ぶ様は、まるで「走馬灯」のようにも見えます。
「終わり」は必ずすべてのものに訪れます。未だ、永遠に続いた繁栄はなく、出会ったものは絶対に別れる運命にあり、生まれたばかりの赤ちゃんはその瞬間から将来の死を決定されています。しかもその瞬間は選ぶことができません。
「終わり」を受け入れた時、人は「今」という瞬間が退屈な直線の一点ではなく、二度と戻ることのないかけがえのない一点だと知ることができます。死神のカードは、「終わり」を知ることで輝き出す「今」という刹那の時間を教えてくれているのではないでしょうか。

17-1-3 逆位置での解釈

逆位置の死神は「終焉」の後の「再生」によりアクセントが置かれた解釈をされることが多いです。
その方針には私も異論がありませんが、この「再生」はあくまで「終焉」の後の「再生」です。
「再生」するために、積極的に「終焉」を迎えることを逆位置の死神は求めています。
上の説明で、癌を患った話をしましたが、癌というのはまさに、「終了」なき「再生」の病です。
通常の細胞は、細胞分裂のたびに、染色体末端のテロメアが短くなっていくので、ある程度の回数分裂すると、分裂を終了します。それに対して、遺伝子に異常をきたした癌細胞は、際限なく分裂を繰り返し、通常そこにあるべき細胞の機能を阻害し始めてしまうことになります。
「終わる」ことなく「再生」し続ければ、本来のそこで働くべきものが働かなくなってしまうのです。
このカードは「再生」を意味します。しかし、それはあくまで、あなたが綺麗に「終焉」させてからの話です。
まずはきちんと「終わらせること」。ダラダラと「延命」しないことを、逆向きの死神は求めています。

17-2 占いで死神が出てきたとき受け取れるメッセージ

17-2-1 一般的なメッセージ

正位置

「終焉」「衰退」を受け入れて、「成長」・「再生」の道を歩みだしましょう。
私たちはいつも、右肩あがりの成長を期待します。去年より、昨日より、成長することがいいことで、停止すること、終わることは悪いことだと無意識に考えています。

しかし、日が沈むから、私たちは「眠り」で回復し、また夜明けに歩み出すことができるのです。
死ぬ細胞があるから、新しい細胞がその場所を埋めることができるのです。

あなたが直面している問題は、ひょっとしたら今、成長や変化が止まってしまったように見えるかもしれません。結果が出なくて焦っているかもしれません。
結果の出ないこと、成長しないことは、「その道ではない」ことや、「新しいことを始めること」を教えてくれているのかもしれません。
「終焉」「衰退」を過剰に恐れず、「成長」と同じ、単なる「結果」として受け入れましょう。
結果から目を背けることではなく、受け入れることで、次の一歩を踏み出していきましょう。

逆位置

今抱えている問題を「終わらせる」ことに集中しましょう。
あなたが次のステップに進むには、まず、目の前のものを終わらせることが大切です。
容赦なく、後悔なく、死神の「鎌」のようにバッサリと終わらせましょう。
中途半端な延命は、新しいものの再生を妨げます。期待も未練も思い出も、感謝して葬ったらバッサリと終わらせましょう。

今あなたには脱皮の時が訪れています。
その皮がどれほど魅力的でも、心地よくても、その時はもう、終わったのです。

17-2-2 恋愛でのメッセージ

正位置

「終わってしまうこと」「離れてしまうこと」への恐怖を手放しましょう。
このカードが即、あなたの関係の終了や、別れを暗示するわけではありません。(と、私は思います。)
しかし、あなたの中で「終わってしまうこと」「離れてしまうこと」に異常な恐怖があるのではないかと死神は指摘しています。

人が別れが辛いのは、寂しさや、やるせなさのせいだけではありません。
「自分に価値がなくなってしまうのではないか」という怖れもその原因です。

ウェイト版の死神のカードをもう一度いてみましょう。「生産」する女帝は気を失い、「権威」やこれまで積み上げたものを象徴する「皇帝」は王冠や笏を投げ出して地に伏せています。

一つの関係が終わるとき、あなたは気持ちだけではなく「○○の恋人」「○○のパートナー」と言った肩書きを失います。また、片思いであれば、「恋をしている」状態を失います。

あなたの関係が終わってしまっても、あなたの心の尊さ(法王)や、生まれたままのあなたの価値(子供)は決して失われません。皇帝の権威は、交換可能なものです。女帝は気を失っているだけなので、死神が去れば、またその意識を取り戻すでしょう。たとえどれほど辛い思いをしても、どれほど寂しくても、将来が不安でも、あなたの回復不可能なものは一切失われません。
気高く穏やかな死神は、あなたが「別れ」や「離別」を恐れすぎないように語りかけて今す。

逆位置

「過去」と決別しましょう。
あなたの中には、何度も何度も蘇ってくる恋愛のパターンや、思い出があるかもしれません。
そして、新しいものが訪れても、無意識にそのパターンを思い出したり、繰り返したりしてしまっているのではないでしょうか。
そのパターンを断ち切るために、あなたは色々な本を読んだり、誰かに相談したり、綺麗になったり、仕事をがんばったり、努力をしてきたかもしれません。

でも、新しいものを入れるよりも前に、あなたは「過去」と決別することが必要です。
細胞は、1日に10%以上も入れ替わっていきます。その「過去」の「あなた」と「今」の「あなた」は全く違う細胞からできています。
過去の「あなた」ときっぱり決別して、今のあなたを大切にしましょう。

17-2-3 仕事でのメッセージ

正位置

「やめる」勇気を持ちましょう。
あなたは今、キャリアアップや待遇の改善を目指して、何かに取り組んでいるかもしれません。
新しいことを始めること、頑張ることはとてもいいことです。しかし、「始める勇気」と同様、 「終わらせる勇気」というのもとても大切なことです。あなたに今必要なことは、新しいことを必死に始めることではなく、勇気を持って何かを終わらせることなのではないかと、死神は伝えています。
「停止」・「終了」はネガティブなイメージが伴うかもしれません。しかし、きちんと終わらせることで、大きな新しいものを始めることができるのです。「今」のあなたにとって不必要なものはないか、点検してみましょう。

逆位置

成功事例や体験談やあなたの過去に影響されすぎないようにしましょう。
ビジネス書を紐解けば、その多くが、過去の成功事例や失敗事例のケーススタディから話が始まります。
確かに、過去の事例や、あなたの成功体験が、あなたを成功に導くこともあるでしょう。しかし、全く同じ事例、全く同じ時は二度とは訪れないのです。
あなたが同じところを「永遠回帰」していたいのであれば、それも一つの手かもしれませんが、あなたが新しいフィールドに進みたいのであれば、誰かの成功事例や体験談、あなたの成功体験、失敗体験に引きずられすぎないようにしましょう。

前のお話

むぎのタロット講座 第16話 タロットカードの意味を知ろう! 12吊るされた男

2019.02.07
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2019.02.10
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ABOUTこの記事をかいた人

小学校の時にタロットに出会って以来、かれこれ20年以上タロットを取り扱っている。多くの人を占うだけではなく、自作のタロットを作るに至る。大学では分子生物学を専攻。趣味はイラストとゲーム作り。本業の傍ら、タロットを自由に楽しむ人が増えればいいなという思いからサイトを作る。