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むぎのタロット講座 第12話 タロットカードの意味を知ろう 08力

第n話:タロットカードの意味をしろう! 08

このお話で学べること

  • 力のカードの構図、モチーフを理解しよう
  • 鑑定で力が出てきたときの意味をしろう!

12-1 力ってどんなカード?

ホップ
なんか、これまでは「魔術師」とか、「女教皇」とか、具体的な名前が多かったのに
ここにきて突然「力」っていう抽象的な名前になったね
むぎ
そうだねえ。原題も、ここまではTHE FOOLとか、THE MAGICIANとか定冠詞がついてたのに
ここにきてSTRENGTHっていう定冠詞なしのカードがきたね。
ホップ
名前は「力」とか「剛毅」とか、男らしいのに
実際にはすごく優しそうな女の人の絵なんだね
むぎ
そうだね。ライオンにもお花をつけてあげるような優しそうな人だね。
もともとこのカードは女の人と獅子が描かれてるカードだったんだけど
ウェイトは元のカードにくらべて、女の人をかなり優しそうに、そして女性的に描きかえた印象だね。
ウェイト版力
マルセイユ版力
ホップ
ほんとだね。マルセイユ版だと力づくでライオンの口をおさえてるかんじだけど
ウェイト版だと、なんていうか「左手は添えるだけ」感がすごいね
むぎ
ウェイトは、このカードに対して
「この図柄が伝統的なものと違っているのは、
彼女が慈悲と忍耐によって既にライオンをてなづけ、
花の鎖でつないでしまった点である」って説明してるよ。
ちなみにタロットのこの絵は「ライオン顎を閉じさせようとしている」絵だと
ウェイトは解釈してる。
ホップ
あ、無理やり開けてるわけじゃないんだね。
ウェイト版のほうはライオンを見る目もとってもやさしそうで、
ライオンをあやしてあげてるよね。
このライオンって何をあらわしてるのかな
むぎ
アーサー・ウェイトはライオンの意味の1つに「情熱」があって、
彼女はその上位概念の剛毅だからそれをてなづけられてるって説明してるね
ホップ
情熱はわかるんだけど…ゴウキってなに??
むぎ
ウェイトは剛毅について、「もっとも高次元では神との合一の秘密に関わって」いるって述べてるね。
ホップ
なるほど、わからん。
むぎ
「獅子の情熱」で攻めてみてもいいかもね。
獅子、情熱で思い起こされるのはニーチェの「我は欲す」の獅子の寓話だけど
ホップ
(それを思い起こすネズミは、世界でむぎだけじゃないかなあ)
むぎ
この獅子は、「汝なすべし」というドラゴンに対して
「我は欲す」の戦いを死に物狂いで挑み続けるんだ。
自分の思うところがあって、それを打ち出すのは一見格好いいんだけど
所詮、獅子の正義は「我」の中にしかないんだよ。
でも、彼女の精神的な強さは、「神の合一」に根ざしており
自分の強さの理由を「我」ではなく、「超越者」の中に委ねた姿だってウェイトは言いたいんだと思うよ。
ホップ
たしかに、「僕が!」「僕が!」って喚いてる人より
静かに自分のなすことをやってる人の方が精神的には強そうだよね。
むぎ
そう。
ウェイトが戦車の次にこのカードをもってきたのは、
その変化じゃないかって思うんだ。
戦車の青年は目的を達成するために一直線に進んでいけるけど
彼は目的そのものの正当性を評価することもできなければ
自分の内面の獣と向き合うこともできていない。
だけど彼女は、獣としっかりむきあって、
それと「戦う」のではなく、「手なづける」ことで
戦いそのものをなくしてしまってるんだよ。
力の役割は、戦車の次に持ってくるほうがウェイトの意図は
表現しやすかったんじゃないかなと思うよ
もともとの「力」を表す「FORCE」から、
「強さ」を表す「STRENGTH」に名前をかえてるしね。
ホップ
そっかあ。
本当の、虚勢じゃない強さって、実は穏やかなものだって
教えてくれてるカードなんだね

12-1 力ってどんなカード?


キーワード
克己、自律

12-1−1 カードの説明

柔らかな衣装を身につけた女性が、猛獣と向き合っています。
あろうことか、彼女は猛獣の大きく開いた口に手をかけています。それでも彼女は平然としています。マルセイユ版とウェイト版にそこまで大きな構図の違いはありませんが、マルセイユ板では、女性がライオンの上にまたがって、「征服している」印象を与えるのに対して、ウェイト版では、女性はライオンに優しく寄り添い、その口をおさえています。また、ウェイト版では、魔術師の男性のように、彼女の頭上にはウロボロスのマークが描かれ、彼女が神性を持った存在であることが描かれています。
マルセイユ板では、このカードは11番目に置かれていますが、ウェイト版では正義と順番が入れ替えられ、9番目のカードとなりました。アーサー・ウェイトはこの入れ替えに関する明確な説明を残していません。しかし、「戦車」の次にこのカードが来ていることに、わたしは、意味を感じます。
一つ前の戦車の絵にも猛獣は描かれていましたが、戦車の青年は鎧を身にまとい、猛獣たちと彼が向き合うことはありませんでした。彼が猛獣を扱えていたのは、彼が猛獣に対して一切の意識を払っていなかったからです。まるで、巨大な潜在意識の上に、潜在意識に対して直接は無意識な顕在意識が乗っているように。しかし、彼女は柔らかな衣服しか身にまとっておらず、かつ、猛獣としっかりと向き合っています。猛獣は一番の武器である牙で嚙みつくどころか、その牙をしっかりと掴まれてしまって、彼女に為すすべがないようです。
わたしたちは、自分の弱さや、情動に対して、つい、それを抑えこもうとしたり、目を背けたりしようとします。ニーチェは、人の成長の3段階の2段階目に、「汝なすべし」のドラゴンと、「我は欲す」のライオンの対決を置きました。「我は欲す」のライオンに対する対処の1つの答えが、ライオンと徹底的に向き合い、ライオンを受け入れることであると、この「力」のカードは説明しているような気がします。
理性と本能は力づくで対決するものではありません。理性が自分の本能の存在を認め、その荒々しさも含めたすべてと向き合うことで、理性は本能を手なづけることができるとこのカードは告げています。

12-1-2 正位置での解釈

正位置では力の持つ「理性」や「自律」といったキーワードをポジティブに解釈します。
アーサー・ウェイトが、わざわざ戦車の次にこのカードを持ってきたことが、このカードの解釈の第一歩ではないかと思います。戦車では向き合わなかった獣と人が、このカードでは向き合っています。また、戦車の獣は人面のスフィンクスでしたが、このカードでは完全なる獣です。戦車を牽く獣は、「男性性ー女性性」「光ー闇」といった、人が名前を付けられる、定義をすることができる、もっというと、人がカテゴライズした二項対立する力を表しているのに対し、戦車の獣は人が名前をつけることができない、漠然とした、人の中の恐ろしい本能や、恐れなのではないかと思います。

わたしたちが自分の意思で行動することができない、と感じるのは、わたしたちが何らかの「恐れ」に突き動かされている時です。詐欺や脅迫的な上司が行う手段がその典型です。将来の不安や、職場でのこの先の立ち位置についての恐怖を煽り、その恐怖によって判断力が鈍っている時に、詐欺師は高価な商品を、脅迫的な上司は無理な仕事を押し付けてきます。「恐れ」のライオンの前で竦み上がってしまったら正常な判断は下せないのです。

「恐れ」を感じる心そのものは、動物としては正常です。気候の変動により、アフリカ大陸から森林が減少し、やむなく、森から草原に出て、直立二足歩行を始めた私たちの祖先は、身を隠すもののない草原で、外敵に囲まれながら生きていくしかありませんでした。当然、そこで生き延びることができたのは、近く猛獣に対して敏感に反応することができる者たちでした。その子孫である私たちが、「恐れ」に対して敏感に反応するのは当然の事です。

しかし、その「恐れ」に対して反応する本能に引きずられ、正常に反応できなくなってしまうことがあるのも事実です。ではどうすればいいのか。

猛獣は、洞窟の中にいるから恐ろしいのであって、渇いた日向に引きずり出してしまえば、単なる1匹の動物です。「力」の女性は、あなたが自分の中の本能的で説明不可能な「恐れ」としっかりと向き合って、具体的な姿を与えることによって、逆に無力化できることを教えてくれています。

12-1-3 逆位置での解釈

逆位置では、力の持つ「理性」や「自律」と言ったキーワードをネガティブに解釈します。
さて、もう一度力のカードを見てみましょう。やはり、ここでも「戦車」と「力」を並べて比較することで、「力」がネガティブに解釈されたらどのようになるかがわかってきます。
「力」の女性が獣を手なずけることができたのは、彼女が臆することなく、獣の瞳をしっかりと見据えて、その口に手をかけることができたからです。彼女の穏やかな表情、やわらかな衣装が、彼女が決して獣と「対決」する気はないことを示しています。「アリーテ姫の冒険」というお話の中で、数々の騎士を振り落としてきた暴れ馬を、小さな女の子(アリーテ姫)が乗りこなすことができたのは、彼女が騎士たちと違い、鎧で武装しておらず、「どうしようもない荒くれ者の馬」ではなく、「草原に暮らす一匹の馬」として向き合ったからでした。「力」の女性のあり方はまさに、このアリーテ姫のようなあり方です。
しかし、「対峙」と「対決」を履き違えて、暴れ馬に振り落とされた騎士たちのように、「力」の獣と向き合ったらどうなるでしょうか?力が逆位置で出るときには、「恐れ」に反射的に「敵対」してしまう、「強さ」のふりをした「弱さ」を、指摘されています。
「恐れ」を「抑え込む」には、あなたが「恐れ」以上に恐ろしい獣に成る必要があります。それは一見「強い」ように見えるかもしれません。しかし、「弱い犬ほどよく吠える」のです。あなたが本当に「強い」のであれば、そもそも、「恐れ」を押さえ込んだり、攻撃したりする必要はないのです。「力」が逆位置に出るとき、「力」の無さが指摘されているのではありません。見せかけの「力」、恐れを受け入れ、克服する「愛」の強さではなく、恐れの反動、恐れに恐れで対抗するような見せかけの強さにとらわれてしまっていないか、指摘されているのです。

12-2 占いで力が出てきたとき受け取れるメッセージ

12-2-1 一般的なメッセージ

正位置

問題の本質をしっかりと見極めましょう。
私たちは嫌なことがあると、ついつい、そこから目を背けたくなってしまいます。しかし、問題の先送りは何の解決にもなりません。まずは、あなたが問題の一番核心となっているポイントに、勇気を持って向き合うことが大切です。
ネットや本の中には、たくさんの解決法が転がっていることでしょう。友達に相談することで、解決策が得られることもあるでしょう。しかし、それは、あなたが問題の本質を正しく理解していることが大前提です。

まずは、問題の本質と向き合いましょう。そうすれば、きっと、解決不可能だと感じられた問題が、実は、あなたの力で解決することができる問題だということに気がつくはずです。勇気を出して、ライオンの口に手をかけましょう。

逆位置

自分の弱さを認めましょう。
あなたはこの問題に対して、「なんでこんなに頑張ってるのに状況が改善しないんだろう」とか、「なんで私にだけこんな運の悪いことが起こるのだろう」と、嘆いているかもしれません。しかし、あなたが頑張ることと、問題の解決の本質は、実は無関係です。あなたが何か不利益を被っていることは、問題に対する免罪符にはなりません。
ひょっとしたら、あなたが感じている苦痛は、問題そのものというより、問題に向き合うことによって、感じてしまったあなた自身の至らない部分であったり、認めたくないあなたの一面そのものかもしれません。
嫌いな他人に向き合う以上に、自分の中の嫌な自分と向き合うのはとても辛いことです。
しかし、その「嫌」というジャッジを下しているのは、ほかならぬあなた自身です。
弱さ、醜さも含めて、自分全体と素直に向き合いましょう。どれほどあなたに不足があり、どれほどあなたにあなた自身が受け入れられない側面があったとしても、あなたの存在、命そのものはいつでも完全です。たった一人のかけがえのないあなたと向き合い、大切にする決意を固めるところから、問題解決を始めましょう。

12-2-2 恋愛でのメッセージ

正位置

相手の気持ちにしっかりと向き合いましょう。
力の女性が対峙するライオンは、私たちの中の漠然とした恐れや、本能の抗いがたい力を表していますが、恋愛に於いて、一番私たちが恐れるのは「相手が私をどう思っているか」ということではないでしょうか。
茶化したり、はぐらかしたり、ごまかしたりすることなく、しっかりと相手の気持ちに向き合いましょう。
ひょっとしたら、相手はあなたに正直な気持ちをなかなか話してくれなかったり、あなたに気持ちを伝えることそのものを面倒だと言ってくるかもしれません。であれば、その「正直な気持ちを話さないこと」や、「気持ちを伝えることが面倒だ」と感じている相手の気持ちにまずはしっかりと向き合ってください。
相手の気持ちに対して向き合う時、実は私たちは「私の気持ち」にも向き合っています。
相手の思いに対して覚悟を決めることで、私たちは、私の気持ちも制御できるようになります。勇気を持って、相手の正直な気持ちと向き合い、罵倒したり、取り乱したりすることなく、「力」の女性のようにしっかりと受け止めましょう。

逆位置

共依存のような関係になっていないか、見直してみましょう。
お互いが、尊敬しあい、足りない部分を補い合い、手と手を取り合って生きて行くパートナーシップはとても美しいものです。しかし、それが、「あの人はわたしがいないと生きていけない」という、誤った承認欲求の満たしあいになってしまうと、お互いがお互いの足りない部分を探し合い、不足を理由に繋がり合うような共依存の関係になってしまいます。
自立と、孤立は違います。
真のパートナーシップとは、しっかりと自立した二人が、お互いを、そして自分を一人のかけがえのない人間として認め合った上で、成立するものではないでしょうか?
これは、あなたがたとえ、経済的に相手に依存している場合であっても変わりません。
自立は恥ずかしいことでも、可哀想なことでもありません。お互いが自由なまま、お互いを尊重しあって、信頼しあって、つながれているかどうか、今一度見直してみましょう。

12-2-3 仕事でのメッセージ

正位置

困難や、トラブルに対して、しっかりと向き合いましょう。
あなたは今、お仕事やこの先の将来に対して、何らかのトラブルや不安を抱えているかもしれません。しかし、臭いものに蓋をすれば、腐敗は進行し、また、厄介者扱いをして攻撃をすれば、必ず反撃を喰らいます。
あなたの中の本能的な恐れに惑わされることなく、困難やトラブルに勇気を出してしっかりと向き合いましょう。
一時的に大変なこともあるかもしれませんが、「力」の正位置を引くことができたあなたの中には、この困難を乗り越えるだけのポテンシャルはすでに備わっています。
この困難を乗り切ることによって、人間的に、新しいステージへと進んでいくことができるでしょう。

逆位置

あなた自身の意見、ビジョンを明確にしてみましょう。
今あなたは、現在置かれている環境に何か不満があるかもしれません。「わたしだったらこうするのに」「何でこんなこと」
働いていると、どうしても不満が出てくることはあります。
さて、あなた自身に、あなたの働き方に対する明確な意見やビジョンはあるでしょうか?ここでいうビジョンや意見というのは、不満や恐れに反応して、「安定した収入が欲しい」「もっと自分の時間が持ちたい」と言った、「現状叶えられていないことを改善して欲しい」ということを言っているだけのものではありません。
仮に、あなたに十分な時間やお金がある時に、あなたはどんなことをやっていけるのか、一切の制限がないなら、あなたは心からどんなことがやりたいのか、という意味です。
不満や不安は探せばいくらでも見つかります。しかし、あなたが先に明確なビジョンや意見を持っていて、かつ、それを実行してしまえば、不満や不安の入り込む余地はありません。あなたの意見、ビジョンを明確にしてみましょう。

前のお話

むぎのタロット講座 第11話 タロットカードの意味を知ろう 07戦車

2019.02.03

次のお話

むぎのタロット講座:第13話 タロットカードの意味を知ろう! 09 隠者

2019.02.07

目次

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ABOUTこの記事をかいた人

小学校の時にタロットに出会って以来、かれこれ20年以上タロットを取り扱っている。多くの人を占うだけではなく、自作のタロットを作るに至る。大学では分子生物学を専攻。趣味はイラストとゲーム作り。本業の傍ら、タロットを自由に楽しむ人が増えればいいなという思いからサイトを作る。